[ワシントン 9日 ロイター] - ミャンマー国軍が、国際社会に同国の「実情の説明するのを支援する」目的でカナダのロビイストを報酬200万ドルで雇ったことが米司法省に提出された文書で明らかになった。
2月1日の国軍によるクーデターに対する抗議デモへの弾圧でこれまでにデモ参加者60人以上が死亡し、逮捕者は1900人に上っている。
国軍がコンサルティング契約したのは、イスラエル系カナダ人のアリ・ベン・メナシェ氏と同氏の会社ディケンズ・アンド・マドソン・カナダ。ワシントンで、ミャンマー軍政の代理人としてロビー活動をする。
契約書によると、ディケンズ・アンド・マドソンの業務は「ミャンマーの有益な発展に向けた政策の策定および執行の支援、並びに同国の実情の説明を支援」としている。契約書は、米国の法令に従い8日に米司法省に提出され、オンラインで開示された。
ミャンマー軍政の報道官に電話取材を試みたが応答はない。
非政府組織(NGO)ヒューマン・ライツ・ウォッチの幹部は、ベン・メナシェ氏がミャンマー情勢について米国を納得させる可能性は低いとの見方を示した。
ベン・メナシェ氏側から米司法省に提出された文書によると、契約は軍政の国防相であるミャ・トゥン・ウー氏との間で成立し、軍政は同氏の会社に200万ドルを支払う。
ミャ・トゥン・ウー氏は、他の国軍幹部とともに米財務省とカナダ政府の制裁対象となっており、支払いは「法的に可能となった時に」行うとしている。
法律の専門家らはロイターに、ベン・メナシェ氏が制裁違反の可能性があると指摘した。
米財務省はコメント差し控えた。
ベン・メナシェ氏はロイターに対し、軍政から支払いを受けるために米財務省外国資産管理室(OFAC)とカナダ政府の認可が必要との法的助言を受けているが、軍政のためのロビー活動が法に触れることはないと述べた。
(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください。)