[東京 15日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、強含みが予想される。ウクライナやイラク情勢をめぐる懸念が後退し投資家心理が改善傾向にある。日米欧のさえないマクロ指標は緩和環境が当面続くとの思惑につながり、金融市場はリスクを取りやすい状況だ。21日からの米ジャクソンホール会議が注目されるものの、相場を大きく動かすようなイベントとはなりにくい。日本株は緩やかに下値を切り上げる展開が見込まれる。
日経平均の予想レンジは1万5100円─1万5600円。
前週に主要国の株式市場を揺るがせた地政学リスクが後退している。ロシアのプーチン大統領は14日、クリミア半島を訪問中に演説し、ウクライナでの惨事を終結させるために全力を尽くすと表明。一方、イラクではイスラム教シーア派を重用し、独裁者との批判が出ていたマリキ首相が退陣を明らかにした。
日本株は11日以降、リスクオフの巻き戻しが急ピッチで進んだため15日は小幅な値動きにとどまったが、冷え込んだ投資家心理は改善に向かっている。「日経平均は7月末から約1000円下落した。すべてを取り戻すのは難しいが再びリスクを取りやすい環境になったのは確かだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)とみられている。
国内企業の4―6月期決算は総じて順調な進ちょく状況だったが、会社側が慎重姿勢を崩さず通期予想の上方修正は多くなかった。このため予想EPSが切り上がらず、表面上は日本株の割安感を強調できる水準でもないが、先行きに期待を残す内容だった。
一方でマクロ指標は、足元で国内の4─6月期国内総生産(GDP)や6月機械受注がさえない内容となり、政策への期待もくすぶる。海外ではユーロ圏の4―6月期GDPがゼロ成長となったほか、米経済指標もまだら模様であり、「グローバルな緩和環境の継続期待が底流で相場を支える」(国内証券)との声が出ている。
相場を大きく動かすようなイベントは乏しい。21日から米ワイオミング州ジャクソンホールで行われるシンポジウムにイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が出席の予定だが、「金融政策の変更に関するような話題はなく、雇用情勢に対する認識などが中心になりそう」(野村証券投資情報部次長の田之上章氏)とみられている。
その他のスケジュールでは20日に7月貿易統計(財務省)が発表される。海外では19日に7月米住宅着工件数(商務省)、21日に8月中国製造業PMI速報値(HSBC)、7月米中古住宅販売(全米リアルター協会)などが発表される。
(株式マーケットチーム※)
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