[17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者の多くが、現実の物価上昇圧力を占うツールとして長期的なインフレ期待を示すデータに注目する傾向がある一方、米クリーブランド地区連銀は17日、足元では短期的なインフレ期待がより注目すべき重要な要素かもしれないと示唆した。
クリーブランド連銀のエコノミスト、イナ・ハジニ氏はウェブサイトに掲載された論説で「現在のインフレ率と短期インフレ期待の関係は現在のインフレ率と長期インフレ期待の関係よりはるかに強い」と指摘。2021年初から22年末までトレンド・インフレ率(景気循環や一時的なショックの影響を除いたインフレ率の大勢的な水準)は前年比3.3%だったが、昨年第4・四半期には3.4%を記録し、FRBの2%目標を大きく上回った。一方、短期インフレ期待は第4・四半期の数値を上回っており、「これらのデータはトレンド・インフレ率を上回る短期インフレ期待の高まりがインフレ率の上昇につながることを示唆しており、このような動きは最近一段と強まっている」とした。
インフレが緩やかになるとFRB当局者が確信している背景の一つは長期インフレ期待を示すデータが比較的安定していることだが、クリーブランド連銀の報告書はこのシナリオに修正が必要な可能性を示唆している。