[東京 29日 ロイター] - 日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は29日の会見で、円高リスクにずっと耐えてきた日本の製造業にとって、円安リスクは初めてだと指摘した。外貨建てでエネルギーや資源を輸入しており、価格高騰が収益を直撃することになる。
橋本会長は、円安の水準だけでなく急激な変動も「予見性を確保できず、甚大な影響を与える」とし、円安リスクについて「極めて大きな課題」と述べた。
日本は欧米と異なり、デフレ脱却ができていない中で、海外発のインフレと円安で上がった輸入価格がきちっと価格転嫁できるかどうか「デフレ構造の業界もあり、欧米以上にきわめて深刻」と指摘した。そのうえで、円安を容認する政策で良いのかという問題意識も示した。
ロシアによるウクライナ侵攻で、液化天然ガス(LNG)などエネルギー調達に不安が出ている。橋本会長は、欧州のエネルギーのロシア依存が高いと言われているが、エネルギー自給率が低く、隣国と連系線が結べない日本が「一番大変」と指摘。「安全性を確認したうえで原発を動かさないと、大変なことになる。物価高、行き過ぎた円安を抑える意味でも、日本の現実的な政策は原子力政策」と述べ、原発の再稼働を加速すべきとの考えを示した。