[1日 ロイター] -
<為替> ドルが上昇した。3月の米雇用統計が堅調な内容となり、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向け利上げペースを速めるとの見方が強まった。
米労働省が1日発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より43万1000人増加し、堅調な伸びを示した。また失業率は3.6%と2020年2月以来、約2年ぶりの水準に改善した。2月の失業率は3.8%だった。
フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、FRBが今後3回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%ポイントずつ利上げするとの見方が示唆された。
ドル指数は0.314%高の98.627。前日は0.5%上昇していた。
週間ではほぼ横ばい。週央は下落していたがロシアとウクライナの和平交渉への期待が後退し、安全通貨としてのドル買いが強まったことで回復した。
欧州連合(EU)統計局が1日に発表した3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年同月比7.5%上昇した。上昇率は前月の5.9%から加速し、過去最高を更新した。
ただ、ユーロの支援材料とはならず、対ドルで0.24%安の1.10395ドルとなった。
コモディティー関連通貨の豪ドル/米ドルは0.15%高の0.74965米ドル。
ルーブルはロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日の数日前の水準を回復した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 逆イールド(長短金利の逆転)が再び発生した。好調な雇用統計を受けインフレ抑制に積極的な利上げが必要になるとの見方から2年債利回りが大きく上昇した。
労働省が朝方発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比43万1000人増。失業率が3.6%と約2年ぶりの水準に改善したほか、時間当たり平均賃金は前年同月比5.6%上昇した。
2年債利回りは2019年3月以来の高水準となる2.469%まで上昇。その後は2.432%に戻した。
10年債利回りは2.456%まで上昇。その後は2.377%に戻した。
こうした中、2年債と10年債の利回り格差は一時マイナス7.85ベーシスポイント(bp)となり、2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールドが再び発生。2年債と10年債の利回り逆転は3月29日と31日にも発生しており、今週に入り3回目。
2年債利回りはこの日、30年債利回りも上回った。逆転は07年以来初めて。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制に向け今年7回の25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施する必要があるとの見方を改めて表明。複数回の50bpの利上げを伴って政策金利を12月までに中立水準に引き上げることについては、想定より早期に中立水準に達したことで利上げを一段と加速することが可能との見方をしなければ大きなリスクはないとの見方を示した。
FRBは来週6日に3月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を発表。50bpの利上げを巡る討議があったか注目されている。
2年債利回りは第1・四半期に160bp上昇。四半期ベースの上昇幅としては1981年9月以来最大となった。
10年債利回りは83bp上昇。16年12月以来の大幅な上昇となった。
金利先物市場ではFRBが5月のFOMCで50bpの利上げを決定する確率が73%であることが織り込まれている。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> S&P総合500種の小幅上昇で第2・四半期をスタートした。米雇用統計で堅調な労働市場が示され、米連邦準備理事会(FRB)がタカ派的な政策スタンスを維持する可能性が高いとの見方を受けた。
米労働省が1日発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より43万1000人増加し、堅調な伸びを示した。また失業率は3.6%と2020年2月以来、約2年ぶりの水準に改善した。2月の失業率は3.8%だった。
セクター別ではディフェンシブ性の高い不動産、公益事業、主要消費財 が好調で、それぞれ1%超上昇した。
週間ではダウ工業株30種が0.1%下落。一方、S&Pは0.1%、ナスダック総合は0.7%それぞれ上昇した。
CMEグループのFEDウオッチによると、FRBが5月のFOMCで50bpの利上げを決定する確率は73.3%に達している。
米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は1日、複数回の50bpの利上げを伴って政策金利を12月までに中立水準に引き上げることについて、想定より早期に中立水準に達したことで利上げを一段と加速することが可能との見方をしなければ大きなリスクはないとした。
他の経済指標では、米供給管理協会(ISM)が1日に発表した3月の製造業景気指数が57.1と、前月の58.6から低下した。サプライチェーン(供給網)の逼迫(ひっぱく)を背景にした仕入れ価格上昇が続いたのが響いた。
個別銘柄では、米ゲーム販売のゲームストップが序盤に上昇。31日に配当の形で株式数を増やし株式分割を可能にすると発表した。ただ、終値では0.95%安。
米アップルが0.17%、半導体大手クアルコムが3.81%それぞれ下落した。米金融大手JPモルガン・チェースのアナリストらは1日、両銘柄を最も強く買い推奨をする「アナリスト注目リスト」から外すと明らかにした。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 良好な米雇用統計を受けて大幅利上げ観測が強まる中、売りが膨らみ、3日ぶりに反落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比30.30ドル(1.55%)安の1オンス=1923.70ドル。雇用統計の発表を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が5月の金融政策会合で0.5%の大幅な追加利上げを決定する可能性が高まったとの見方が台頭。米長期金利が上昇基調を取り戻す中、金の魅力は低下し、相場はマイナス圏で推移した。外国為替市場で、ドルが対ユーロで堅調に推移したこともドル建てで取引される金を下押しした。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 日米欧などによる石油備蓄の協調放出合意を受けて、需給が緩むとの見方が強まり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は前日比1.01ドル(1.0%)安の1バレル=99.27ドルとなった。中心限月ベースの清算値としては3月16日以来2週間ぶりに100ドルを割り込んだ。6月物は0.62ドル安の97.90ドル。
バイデン米大統領は前日、原油価格高騰を受け、戦略石油備蓄から日量100万バレルを今後6カ月間放出すると発表した。1日には、日米欧など主要な石油消費国が加盟する国際エネルギー機関が緊急会合を開催。各国が備蓄石油を追加放出することで合意した。実施規模や時期などはまとまらず、今後詰める。市場では「一時的な放出では問題は解決しない」(日系金融機関)との見方が多いが、需給逼迫(ひっぱく)懸念が緩み、売りが先行した。中国では、新型コロナウイルスの感染が全土で急拡大している。中国政府が外出などを控えるよう呼び掛けているほか、上海市西部でロックダウン(都市封鎖)が始まった。中国のエネルギー需要が減少するとの見方も売りを促した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 122.49/122.52
始値 122.42
高値 123.03
安値 122.39
ユーロ/ドル NY終値 1.1053/1.1057
始値 1.1065
高値 1.1067
安値 1.1029
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*03.00 2.4347%
前営業日終値 95*27.50 2.4460%
10年債(指標銘柄) 17時05分 95*16.00 2.3895%
前営業日終値 96*01.50 2.3250%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.25 2.5654%
前営業日終値 100*12.00 2.4200%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*18.88 2.4625%
前営業日終値 99*29.88 2.2840%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34818.27 +139.92 +0.40
前営業日終値 34678.35
ナスダック総合 14261.50 +40.98 +0.29
前営業日終値 14220.52
S&P総合500種 4545.86 +15.45 +0.34
前営業日終値 4530.41
COMEX金 6月限 1923.7 ‐30.3
前営業日終値 1954.0
COMEX銀 5月限 2465.4 ‐47.9
前営業日終値 2513.3
北海ブレント 6月限 104.39 ‐0.32
前営業日終値 104.71
米WTI先物 5月限 99.27 ‐1.01
前営業日終値 100.28
CRB商品指数 293.1821 ‐2.0011
前営業日終値 295.1832