概観
USD/JPYは木曜日に100円の大台を突破し、そのまま上昇し続けた。このように長期にわたる待望の動きの後にはしばしば利食い売りが見られるものであるが、今回は、金曜日も順調に上昇し続けた。週末のG7会合では、日本の金融政策を受け入れることが示唆されたため、売りの根拠が与えられることはなかった。
USD/JPYはどこまで上がるのだろうか?OECDによれば、USD/JPYの購買力平価(PPP)は106円前後である。通貨はしばしば25%過小評価された後、貿易の流れなどにより調整されるものである。そうした経験則から、130円もあり得ると考えられる。これは行き過ぎではない。つまり、1985年のプラザ合意以来、JPYは、対USDで平均37%過大評価されており、反対方向に25%逸脱する可能性があるのは明らかである。通貨は、PPP価値からかけ離れる場合もあり、CHFの例で知られているとおり、かなりの長期間にわたってそうした水準にとどまる場合もある。現在、日本は貿易赤字と財政赤字を抱える「双子の赤字」状態にあり、日銀は前代未聞の最も積極的な量的緩和策をスタートさせたばかりである。ポートフォリオの流出は、最近緒に就いたばかりである。時代は変わった。
米国における量的緩和の「後退」に関する議論が再燃していることから、JPYは決定的に弱含むとみられ、「リスクオン=USD売り」の終焉に向かっており、その代わり、JPYのキャリートレードの回帰が見られるだろう。これにより、大半の通貨に対してUSDは強含むはずである。昨日、USDは対CHFで、対JPYよりもさらに上昇した点には留意する必要がある。USDは新たな安全通貨となるかもしれない。
ユーロ圏の財務相は、ブリュッセルで本日会合を持つ。議論の焦点は、欧州の銀行の合併の行方に集中するだろうが、まだ何の決定も行われないだろう。スロベニアとキプロスについても検討されるとみられ、ギリシャに対する2つの支払支援協定が締結されるだろう。本日発表される指標は米国の小売売上高のみである。変動の激しい自動車とガソリンを除き、-0.1%から+0.3%への改善が予想される。労働時間の伸びが、給与税の上昇を相殺している可能性がある。
マーケット
EUR/USD
• 金曜日、イタリアの鉱工業生産指数は予想を大幅に下回り、ユーロ圏が、緊縮財政に頼るだけではなく、地域経済を刺激する別の方法を模索する必要があるとの見方が裏付けられたため、EUR/USDは低下した。同ペアは、1.2935でトレンドライン・サポートを見出し、売られ過ぎの水準から反発して、1.2985でレジスタンスを見出した。本日、一定のレジスタンスは、2月~3月の低下の23.6%リトレースメント水準であり、200日移動平均でもある1.2980に現れ、最初のサポートは1.2930に現れるだろう。より強力なサポートは、2012年下半期の上昇の50%リトレースメント水準であり、形成されつつあるヘッド・アンド・ショルダーズ・フォーメーションのネックラインが見られる1.2855-1.2875領域に現れる可能性がある。本日発表が予定されている米国の小売売上高は、2ヵ月連続での低下を示すとみられることから、次のレジスタンスは、1.3055に現れるだろう。
USD/JPY
金曜日、USD/JPYは、100円の大台を突破した後ラリーが続いたため、大幅に上昇し、同ペアは、1995年~2007年の間に2回、決定的なサポートとして機能した5年ぶりの高値である101.65でレジスタンスを見出し、101.98までスパイクした。オーバーナイトでは、予想よりも大きく日本のマネーサプライが増加したため、円安に拍車が掛かり、同ペアは102円を突破し、102.15までスパイクした。101.50-101.65領域は、現在、サポートとして機能している可能性があり、次の大きなレジスタンスは103.90に現れるだろう。
AUD/USD
• AUD/USDにおける重要なサポートである1.0150の突破は金曜日も持続し、同ペアは、2011年10月以来保持されてきた右肩上がりのトレンドライン近辺でサポートを見出し、その取引セッションの最後の数時間でUSD安の流れを受けて反転し、2012年下半期のラリーの61.8%リトレースメント水準近くでレジスタンスを見出した。オーストラリアでは、4月の企業景況感が悪化したため、3月の住宅ローンが予想よりも大幅な伸びを示したにも拘わらず、同ペアは、今朝、さらに低下した。最初のサポートは、0.9940に現れるとみられ、次のサポートは、2009年3月~2011年4月のラリーの23.6%リトレースメント水準である0.9900に見出され、レジスタンスは1.0020と1.0060に現れるだろう。
金
• 金は、金融危機後のラリーの38.2%リトレースメント水準である1450ドルを突破したことがテクニカルな売りを誘い、USDが強含んでいたため、価格は1423ドル~1431ドルのサポート領域へと突入した。その後、USD安により、価格は再び注目すべきレジスタンスである1450ドルまで戻り、アジア取引時間中に再び注目すべきサポート水準まで下落した。1385ドルが4月の下落の23.6%リトレースメント水準であるため、次のサポートは1400ドルに現れるだろう。
Oil
• 金曜日、WTIは、急落し、重要なサポート水準である95.60ドルを突破した後、USD高を受けてさらに低下した。サポートは、フィボナッチとトレンドライン・サポートが見られる93.20ドル~93.50ドル領域に現れた。USDは米国取引時間中に弱含んだが、その後、下げ幅の大半を取り戻した。しかし、OPECが生産量を5ヵ月ぶりの高水準にまで引き上げるとの報道により、コモディティーに対する下げ圧力が強まった。WTIは95.60ドルでレジスタンスを見出す可能性があり、次のレジスタンスは96.60ドルに現れ、サポートはトレンドライン・サポートと50日移動平均サポートが見られる94.50ドルと93.20ドルに現れるだろう。
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