ユーロ/円相場は、11月7日の1ユーロ=131.22円をボトムに、135円水準まで切り返す展開になっている。10月22日に付けた年初来高値135.51円に迫りつつあり、英ポンド/円相場に続いて新高値を更新できるのかが試されることになる。対ドルでもややユーロに対する買い戻し圧力が優勢となっており、欧州中央銀行(ECB)がサプライズ的に利下げを決定した前の価格水準まで回帰している。
ユーロ圏の7~9月期国内総生産(GDP)は前期比+0.1%となり、4~6月期の+0.3%から伸びが鈍化した。ドイツやフランスの成長率が鈍化しており、プラス成長は維持しているものの、景気回復の勢いが必ずしも力強いものではないことが露呈した形になっている。4~6月期に過去最長のリセッション(景気後退)からは脱したものの、失業率は過去最悪の12.2%と高止まりする一方、インフレ率は4年ぶりの低水準まで落ち込んでおり、手放しで歓迎できる状況にはないことが再確認できる。9月鉱工業生産も前月比-0.5%に留まっている。ただ、今週発表が予定されているドイツの景況感指数などは総じて強気見通しになっていることで、特にユーロ経済に対する懸念を背景にユーロ相場を売り込むような動きまでは見られない。
短期的には、こうしたユーロ圏経済のファンダメンタルズよりも、リスクオンの地合が継続するかが注目されている。日本株買いと円売りのトレードに再開の兆しが見られる中、このまま株高基調が続くとクロス円全体に買い圧力が強まり易い。ユーロ/円も年初来高値をブレイクすれば、買い圧力に弾みが付くだろう。
テクニカルでは、一目均衡表の基準線(133.36円)、転換船(133.31円)とのかい離がやや拡大しており、過熱感もある。このため調整リスクには注意が必要であるが、年初来高値(135.51円)をブレイクできれば、12月に向けてコアレンジは切り上がる。サイコロジカルは、前週の8勝4敗から7勝5敗に。14日RSIは57.70。