先週発表された米指標データは、1-3月期の景気低迷が特殊要因(=悪天候&湾岸ストライキ)によってもたらされた一時的な現象であるというイエレンFRBの主張を裏付ける内容とはならなかった。
直近の米10年債利回りは、独10年債利回りの上昇(=2013年12月以降から続いた独連邦債買いの調整)に追随。しかし、米ファンダメンタルズ改善を背景とした金利上昇ではないことからドル相場との相関性は強まらず、ドルインデックスは先週サポートポイント94.00を破る局面が見られた。
米利上げに関するメインテーマは既に6月利上げから9月のそれにシフトしているが、今週発表される米指標データでも冴えない内容が続けば、9月の利上げ観測すら後退させかねない。米金融政策の方向性を織り込みやすい2年債利回りが10年債利回りに先立って低下している点は、この懸念がマーケットで意識され始めていることを示唆している。よって、今週の焦点は米指標データを背景にドル安が加速するか否か、この点にあろう。
米指標データ以外にもドル安加速の要因となるなら、それは独金利の上昇だろう。先月17日に独10年債利回りは過去最低 となる0.049%をつけた。その後、ユーロ圏経済のボトムアウト期待とそれに伴う偏りすぎた独連邦債のロングポジションへの警戒感から、先週は0.80%付近まで急反発。2013年12月下旬の高水準を起点に考えるならば、テクニカル面ではリトレースメント38.20%戻しが意識されやすい状況となっている。このため市場の一部では、独金利の上昇局面が終了に向かっているとの観測が台頭している。しかし、今週発表される独&ユーロ圏の指標データが総じて景気回復期待を強める内容となれば、50.00%戻し(=1.00%)レベルを視野に独金利には再び上昇圧力が強まる可能性があろう。独金利の上昇トレンドが継続した場合、EUR/USDは1.15レベルを視野にユーロのショートカバーが継続しよう。追随する米金利の上昇幅が独金利のそれを上回る展開(米金利の上昇幅>独金利の上昇幅)となればドル買い優勢の局面が散見されるだろうが、それが持続的なドル買いトレンドへ発展するためには、米指標データが市場予想を上回り続けることが最低条件となろう。
独金利の上昇が継続した場合、円相場は「EUR/USDの上昇→ドルストレート全般にドル売り圧力が波及」することで、クロス円が上昇しよう。USD/JPYはクロス円にサポートされる展開となろう。一方、一部の市場予想通り独金利の上昇が0.80%付近で一度頭打ちとなり、且つ好調な米指標データが重なれば「EUR/USDの下落→ドルストレート全般にドル買い圧力が波及」する展開が想定される。ただ、どちらの展開となっても株式市場が崩れる場合は、円高圧力が強まる展開が想定される。