18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、金融政策の正常化に関し「忍耐強くなれる(be patient)」との文言を削除した一方、経済見通しについては前回の声明で用いた「堅調な(solid)」から「いくぶん緩やかになった(economic growth has moderated somewhat)」と下方修正した。
また、FOMC参加者によるフェデラルファ ンド(FF)金利誘導目標は2015年が0.625%(昨年12月時の1.125%)、16年末が1.875%(同2.50%)といずれも下方修正され、且つ2015年の米実質国内総生産(GDP)成長率も昨年12月の2.6~3.0%から2.3~2.7%に、個人消費支出(PCE)も昨年12月時点の予想1.5~1.8%の上昇から2015年末時点は1.3~1.4%の上昇と、いずれも下方修正された。
米国マーケットは各見通しの下方修正に反応し「株高・債券高(金利低下)」となった。外為市場ではドル売り圧力が強まり、ドルインデックスは一時97.00割れの局面が見られた。EUR/USDは短期レジスタンスライン(18日時点で1.1055レベル)をトライする展開に。また、USD/JPYは1月16日安値115.85レベルを起点としたサポートラインを下方ブレイクする等、ドルロングを調整する動きが加速した。一方、クロス円は米株や主要な欧州&新興国株式が堅調に推移したことで上値トライの展開となった。
将来の利上げに布石を打ちつつも、タカ派色を薄める内容となったFOMC声明を受け、ダウ平均は5日以来となる節目の1万8000ドル超え。ラッセル2000種指数は9.91ポイント(0.80%)高の1252.14と、過去最高値を更新した。ひとまず米早期利上げ懸念が後退したことで、米株は安定化する可能性が出てきた。米株の安定化は、円相場の主役が再びクロス円へシフトすることを意味する。
ただ、イエレンFRB議長は会見で6月利上げに含みを持たせる発言をしており、今後の経済指標次第では再び早期利上げ観測が浮上する可能性があろう。焦点はやはり雇用&インフレ関連指標となろう。特に前者の動向は、イエレンFRBが6月利上げのハードルと認識している低インフレ脱却の重要ファクターとなる。次回FOMC(4/28-29)までに労働市場の改善スピードが加速すれば、マーケットではイエレンFRBが利上げに向けた新たな文言(2004年利上げ時は”measured pace”)を盛り込み、6月利上げシグナルを発信してくると意識しよう。
尚、4月は米四半期決算と重なる。以前も指摘したように、米株は2014年以降、決算期に絡み調整が入るパターンが見られる。4月決算のタイミングで米早期利上げ観測が再台頭すれば、米株が再び崩れる可能性は否定できない。