- 世界の株価は、先週金曜の米国の好指標から続く上昇を伸ばした。
- 非常にめずらしいことだが中国株は、上海証券取引所が買い直し推薦し上昇。
- ドル安は、新興市場と商品先物を活気づけた。
- 欧州連合(EU)離脱の政策を巡って英外相が辞任したことを受けて、ポンドは下落した
- 人民元安は貿易摩擦を緩和している。
世界のマーケットの見通し
米国と欧州
S&P 500、Dow 、 NASDAQ 100を含む、ヨーロッパの株式市場や米国の先物市場は、アジア市場が上昇したことを受けて、今朝(9日)の相場が注目されている。
先週金曜日に発表された米国の好調な経済成長を示す指標にともない、決算発表シーズンが近づく中で、投資家たちは貿易摩擦の影響による下落は縮まると見ている。
とりわけ何も悪いことが起こらなければ、投資家たちは良い指標や、テクニカル的側面を受けて数週間後にさらなる最高値に向かうことになるだろう 。
好調なエネルギー関連株の状況を受けて、STOXX 600は上昇した。5日間連続で、欧州株価指数は上昇した。(5日間連続というのは3月以来一番長い記録だ。)
アジア市場 - 洪水被害を受けた日本も好調
日本
今日(9日)、アジア市場は主要株価の好調を受けて株価が上昇した。
それには洪水被害で90人以上の死者を出した日本も含まれる。
洪水被害はAmazon (NASDAQ:AMZN), マツダ (T:7261) 、パナソニック(T:6752)などを襲ったが、その悪材料とは一転してTOPIX やNikkeiが上昇した。
マツダやパナソニックは下落したが、今のところ、日本円や主要株価において大きな下落は見られない
香港
何週間も下落が続いていたが、香港のハンセンも同様に1.3%の上昇を見せた。しかし、期待されていたスマートフォンメーカーのXiaomi (HK:1810)がIPOを果たしたが、公開価格を2%以上下回り厳しい滑り出しだった。
中国
今朝(9日)を牽引したのは、米中の貿易摩擦の中、2.4%の上昇を見せた上海総合指数だった。中国政府が、投資家の安心感を高めているにもかかわらず、2018年初頭と比べ中国の株価指数は約17%低下した。
さらに、前代未聞の出来事であるが、上海証券取引所の関係者がブログで、下降トレンド後に暴落した株は買いのチャンスだと指摘した。それは単なるプロパガンダではなく、継続的な企業成長と記録的な株の買い戻しは、現在の上昇相場の見通しを支えていると考えられる。
しかし、この上昇をテクニカルの視点から見ると、単なる下降トレンドの中の調整だと考えられる(上図)。
中国株式を加速させたもう一つの要因は、皮肉なことに中国人民元が 0.3%の下落をしたことかもしれない。
通常の経済状況下では、通貨の高騰は輸出に逆風となり、株式市場の下落を招く。
中国がアメリカに対し、人民元の操作を米中間の貿易摩擦の対抗手段として使用しないと公言した一週間後、人民元の上昇は貿易摩擦を和らげている。中国政府は公言した約束を守っているようだ。
しかし、上海総合指数と同様に、人民元は下降トレンドにあり、少しの上昇は単なる相場調整と考えられる。
2017年1月にトランプ大統領が「強いドルが私たちを殺している」と述べて以来、ドル/人民元ペアは売られすぎの状況になっている。
ドル/人民元は、50週間の移動平均線が200週間の移動平均線を下回った後、100週間の移動平均線が下落阻止を支えている。
アジア市場で、唯一上昇トレンドなのはオーストラリアのS&P/ASX 200だ。S&P/ASX 200は先週金曜日に上昇三角持合いを形成した。
世界的な経済懸念
ドルは6月14日から7月6日の期間で小さなダブルトップを形成して、3週間中の最安値まで下落した。そして、5月14日以来の上昇トレンドラインを下回ろうとしている。
ドル安は、ドル建てで表示される商品への投資を呼び込みやすい。実際に、商品や新興市場は上昇した。
原油
ドル安は74ドルまで下がった原油価格の上昇には影響が及ばないようだ。
しかし、もっと長期的視点でみると、このような状況は商品市場に追い風を与えるだろう。テクニカル分析的には、原油価格は上図の上部の抵抗ラインを上抜けすることにより上昇相場が作られると考えられる。
イギリスではテリーザ・メイ英首相の「ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)」に反対する、デービスEU離脱担当相と側近のスティーブ・ベーカー次官、そしてジョンソン英外相が辞任した。
これを受けポンドは上昇分を打ち消す形で下落した。
ユーロは先週金曜日ドイツのドイツ製造業受注の回復が予想を上回り上昇した。
しかし、今日(9日)はその上昇を引き続き伸ばすのに苦戦したようだ。
先週金曜日に発表された米国雇用統計で雇用が増加していることを受け、世界経済の見通しは明るくなっている。
拡大し続ける貿易摩擦の中、もし企業業績が成長軌道に乗り、良い決算が出れば、さらなる経済成長の見通しが見込める。
その決算結果は投資家の買い意欲をかきたて、相場は最高値を目指すだろう。