今週はじめ、 原油価格の大幅な上昇があった。また、テクニカル的にも原油は底を打ったと見ることができる。しかし、貿易摩擦を始めとするファンダメンタルは引き続き大きく相場を動かす要因であろう。以下に今週原油に影響を与える4つの注目点を述べた。
1. 今週の原油価格は上がったが、今後の方向性は分からない。
原油価格は、米国原油在庫量が先週より減少したことを受けて上昇した。ブレント原油は12日、1バレルあたり80ドルに到達した。また原油が上昇している理由として、イラン制裁は予想されていたよりも原油市場に影響を与えるだろうという見通しである。現在アナリストは1日あたり、150万バレルの原油が市場から消えると予想している。また原油市場では、サウジアラビアは前回推測されていたよりも原油増産はせず、米国のシェールオイル産業は2019年にパイプラインが整うまでは停滞すると考えられている。これらの予測は11月限の原油価格を押し上げる可能性がある。しかし、これらは単なる憶測に過ぎないことをこころに留めておくべきだろう。価格を引き下げる要因として、予想されていたより多くはないが、シェールオイル生産は引き続き上昇している。また、サウジアラビアは原油輸出を増加する方針だ。
2. イランの浮体式貯蔵
アメリカのイラン原油制裁は11月初旬まで発動されない。しかし、Tanker Trackersによると、イランはすでに海岸線にあるタンカーの原油はもうない。タンカーの一時的な貯蓄原油は一般的に原油産出国向けだという。これらのタンカーの違いは、1530万バレルの原油とコンデンセートを貯蔵しているこれらのタンカーの行く先はないということだ。イランは前回の制裁の時、4000万バレルの原油とコンデンセートを貯蓄していた。この制裁が終わったあと、イランはこれらの浮体式貯蔵の原油を売り飛ばした。制裁の間も、イランは秘密裏に浮体式貯蔵の原油を売っていたのでないかと疑いがかかっている。この時期、原油市場ではイランの原油とコンデンセートの貯蓄量に注目し、制裁に反して浮体式貯蓄から売られているかどうか見られていた。
3. WTIとブレント原油のスプレッドは拡大、これは米国原油輸出にとって有益である
WTI原油とブレント原油のスプレッドは現在1バレル10ドル近くある。これにより米国の原油輸出は、イラン原油から切り替え先を探していた韓国や日本にとって非常に魅力的である。原油生産国のアメリカはディスカウントをするようだ。現在貿易摩擦の影響を受けている中国以外のアジアでは、これらの恩恵を受けられる。EU離脱(ブレクジット)の懸念を加担し、広がるスプレッドは北海の原油生産で人材不足になると考えられる。しかし、ブレント原油産業の中心地であるアバディーンのMPはこれらの驚異を「scaremongering(デマ)」と呼び、根拠のないことだとしている。
4. ハリケーン・フローレンス、ガソリンの値段には一部地域に影響を与える
北側のColonialとPlantationのパイプラインはペトロニウム製品を運んでおり、ノース/サウスカロライナ州にハリケーンが通過する場合、洪水の影響が考えられる。また、ハリケーンによって停電しパイプラインを壊す可能性がある。ノースカロライナ州、バージニア州、ワシントンDC、メリーランド州、デラウェア州、またニュージャージー州で、一時的にガソリン価格が急騰する可能性がある。