連邦準備理事会(FRB)はフェデラルファンド(FF)の金利の誘導目標を25ベーシスポイント引き上げた。今年3回目の利上げである。これにより日本円とスイス・フランを除いて、 米ドルは主要通貨に対して上昇した。
円とフランに対して上がらなかったことは、リスク回避のサインと考えられる。水曜日、 ダウ平均 は100ポイント以上下落し、一方 10年債利回りは5ベーシスポイント近く落ちた。
FRBの金利引き上げは、米国債利回りに影響しなかった。これは、パウエル議長は買い目線の投資家を満足させることには失敗したということを示している。
FOMCで分かった5つのこと
- 金利が25ベーシスポイント引き上げられ、誘導目標レンジは2ー2.25%になった。
- 16人中12人のFOMCメンバーによって、12月の利上げが想定されている(前回は8人)
- FRBは2018年のGDP成長見通しを上方修正
- FOMCの声明文において「緩和的」の言葉が削除されたが、パウエルFRB議長は今後の金利政策を示唆するものではないと説明
- インフレが上昇したら、パウエル議長は利上げペースを早めるが、インフレのペースが下がれば、金利を引き下げる可能性がある発言をした。
パウエル議長をはじめとする中央銀行の経済の見通しや、政策金利見通し(ドットプロット)を考慮するすると、引き続き利上げを行うことは間違いないだろう。この発表があった後、12月の利上げは米国政策金利モニターツール で確認すると、政策金利引き上げに対する市場の期待度は77%であり変わらずであった。パウエルFRB議長は経済成長に対しポジティブにとらえている。
日本円(USD/JPY)
なぜ USD/JPYは113円以上をキープすることに失敗したのだろうか?答えは簡単である。投資家はパウエルFRB議長からタカ派のコメントを期待していたが、金利引き下げの可能性を示唆したことがドル円の上昇をとめたのだ。
パウエルFRB議長によると、インフレが著しく上昇すれば利上げペースをあげるが、もし経済が停滞したら、金利を引き下げることもありえるという。このパウエルFRB議長のコメントはタカ派的な利上げとは言えないし、ハト派ともいえない。今後、USD/JPYでは113円から下落しダブルトップを形成するだろう。
NZドル(NZD/USD)
FOMCが終わり、今度は木曜日にニュージーランド金融政策発表がある。前回のニュージランド準備銀行(NZ中央銀行)の発表では、利上げの予測が2019年第3四半期から2020年の第3四半期に変更され、 NZD/USD は2年半振りの最低水準まで下落した。この変更は、NZ中央銀行の経済成長の懸念が反映されたものであった。
この発表以来のニュージーランドの経済は、特に小売売上高、GDP 、消費者物価指数(CPI)の経済指標で見られるように改善されている。第2四半期では、経済は2年間で最も速いペースで成長している。
もし、今回のNZ中央銀行の声明が楽観的であれば、NZD/USDは67セントまで上昇するだろう。しかし、ニュージランドはユーロ や 豪ドルに比べて強い必要がある。もし、中央銀行がリスクや用心深い見通しを続けるのなら、NZD/USDは66セント以下になるだろう。
カナダドル(USD/CAD)
FOMC後、USD/CADは上昇した。NAFTA合意は今月末までに終わらないということが徐々に明らかになり、市場はこのような事実を受け入れ始めている。Investing.comの記者であるBoris Schlossberg氏によると「この事実(期限までに合意がなされないこと)に加え、アメリカの金利は25ベーシスポイント上がり、カナダドルの下落予想が高まっている。明日、ポロツ加総裁はニューヨークの午後に講演があり、金融政策について何らかの危惧を述べられたら、カナダドルは更に下がる要因になるだろう」と語った。
ユーロ(EUR/USD)
EUR/USDは4日連続相場は持合いをしているが、まもなくブレイクするだろう。
木曜日には、欧州中央銀行(ECB)の マンスリー・レポート や、ユーロ圏の消費者信頼感指数などの経済指標は良い結果が予想されているが、EUR/USDはこれらの変更があった場合敏感に反応するだろう。
EUR/USDの短期チャートでは1.18の水準で上昇を強く否定している。もしEUR/USDが1.1725以下にブレイクするのなら、すぐに1.1670まで下落するだろう。
英ポンド
一方、英ポンドは大きな下落の後で力強く回復している。ショートポジションを持っている投資家は、ポンドに対して何か良いニュースがあればポジションを解消したいと考えているだろう。