ポイント
- 米インデックスは、S&P 500を除いて調整局面に入ったとみられる
- しかし、2009年からの上昇トレンドの上にとどまっている。
- VIX(恐怖指数)や、セーフヘブンの円、金、国債をみると、まだパニックの水準ではない
先週は今年の中でも最もボラティリティーが高かった週のひとつであった。 ナスダック総合指数、S&P 500、 ダウ平均、Russell 2000はすべて下落基調であった。金曜日のテクノロジー株は下落幅を広げ、一時S&P 500は調整局面の水準まで下がった。
株式から資金が流れ、国債と 金は上昇した。 アマゾン(Amazon) (NASDAQ:AMZN)や、アルファベット(Alphabet) (NASDAQ:GOOGL)などを含む大企業の決算が予想を下回っていたために、株式の下落は導かれていた。
コミュニケーションサービス、テクノロジー株はSPXにのしかかる
金曜日、S&P 500のインデックスは、1.73%下落した。これは主にコミュニケーションサービス (-2.71%)やテクノロジー (-2.00%)セクター、さらに 一般消費財セクターの下落によって導かれた。
素材セクターと資本財は貿易戦争の中で上昇していたにも関わらず、 素材セクターも0.59%下落し、資本財セクターは0.99%下落した。
週次では、SPXは3.94%下落した。 原油が3週間連続で下落しているのに続き、 エネルギー株指数は(-7.06%)下落した。
S&P 500は、9月20日の2930.75ドルの終値から10.32%下落しているが、その後反発し、調整局面には入ってはいない。
金曜日のダウ平均は1.19%下落している。10月3日につけた26828.39ドルの最高値から8.9%下落している。
週次では、2.97%下落し、過去5週間で4週下落していることになる。
しかし、ダウ平均は10%下落しておらず、ウォールストリートではまだ調整に入ったとは見なしていない。一方、中期的に下降トレンドを形成している。
月次のチャートで見れば分かるが、2009年以来の長期の上昇トレンドラインはまだ崩れていない。
さらに今年初めのから比べると、0.14%下落のみであり、ダウ平均は対前年比では主要因インデックスの中で、ナスダック総合指数に続いて、2番目に良いパフォーマンスである。
金曜日のナスダック総合指数は、アマゾン(Amazon)や、アルファベット(Alphabet)が下落したために2.07%下落した。この2社の決算は予想を下回り、見通しが悪化している。
ガイダンスの見通しが悪くなってることや、経営陣がこの世界的に経済指標のネガティブセンチメントを受け入れ始めていることによって、現在の経済の不安定は引き起こされている。最近のテクノロジー企業は大きく下落したが、それでもテクノロジーセクターは年初から3.82%上がっており上昇局面を維持している。週次では、ナスダック総合指数は3.78%落ちた。4週連続で下落し、全部で10.93%の下落である。8月27日の終値の8109.54ドルの終値から11.62%下落している。ナスダック総合指数自体は、調整局面に十分入っている。
金曜日のラッセル 2000は1.07%下落し、週次では3.78%の下落だった。また、6週間連続での下落であり、合計で13.32%である。ラッセル2000も2週間半前に調整局面に入った。8月27日の最高値の1740.75ドルからは14.76%下落している。他のインデックスに比べて、深い調整に入っており、年初からは3.38%の下落である。
総合的には、 GDPが予想の3.3%をやや上回り3.5%の成長率を発表した後に、株式は金曜日にやや反発している。
また、GDPの内2/3を占める消費者支出が4%増加し、2014年の第4四半期以来最も強い数字である。一方、大事なインフレを測る指数であるコア個人消費支出価格指数は2.00%の予想を下回り、1.6%と大きく減少した。
もし、決算が強い数字で、経済指標のほとんどが成長しているのなら、なにが最近の下落を招いたのだろうか?
それは、「貿易戦争」や「利上げ」に関する投資家や経営陣のセンチメントだろう。
しかし、木曜日の時点においてSPXとダウ平均の日足で見ると2回のピーク&トロウ(山と谷)が形成され、中期的な下降トレンドになっていることは注目である
様々なファンダメンタルがあったにもかかわらずVIXのボラティリティーは先月増加せず、今回の上昇は2月の上昇の半分だけ上昇した。
これは株式市場の続落にも関わらず、パニックの領域には達していないということだ。
為替市場では、 日本円が2015年5月以来の上昇トレンドを下回った。円需要がないことも、パニックに至ってない理由である。
金は日本円に連動しており、また2015年11月以来の上昇トレンドラインを下回ったままである。
国債も、投資家サイドにとってまだ危機感がないことを表している。利回りはまだ、2016年の中旬以来上昇トレンドであり、2011年以来大きなダブルボトムを形成している。そのネックラインは3.000の水準でサポートされている。
しかし、いまだに米中間の通商問題については加速する可能性はあり、現在人民元 は2016年12月以来の低水準までに下落している。
さらに0.25%落ちれば、2008年の4月以来の低水準である。その心理的にキリがいい水準になれば貿易戦争は次のレベルになるだろう。
米中間の関税のチキンレースによって経済の負担が大きくなり、お互いのメンツを保つために関税を撤回するに至る可能性がある。
WTI原油は、リスクオフのセンチメントやサウジアラビアの石油相の増産発言によって下落し、2月以来の上昇トレンドラインに達した後、上値を伸ばしている。