FXマーケット総まとめ:11月7日
米国の中間選挙で民主党が下院で勝利を収めた後、米ドルはほとんどの主要通貨に対してドル安になり1日を終えた。唯一ドルに対して弱かったのは、日本円だった。
欧州時間を通してドル売りがあったので、中間選挙の結果はドルにマイナスな影響を与えていると思わせていた。しかし一方で、NY時間を通して、米国債利回りや株価が上昇すると共にドルは上昇した。
ねじれ国会による議会のこう着の可能性は、ドル安にさせるかもしれない。民主党の下院の統治に対してトランプ米大統領の対応がすぐに変わってくだろう。
トランプ米大統領は「私たちは野党と一緒に国民のために、経済成長、インフラ、貿易、処方薬の価格の低下などを尽くしていきたいと考えている。民主党によるインフラの計画や、ヘルスケアの計画、また民主党が考える他の計画を、私たちは協議するだろう」と述べ、トランプ米大統領は民主党と協調体制を望んでおり、市場にとってもそれは良いことだ。
中間選挙が終わり大事なことは、FRBが 利上げを続ける見通しであることや、民主党がトランプ米大統領による中流階級向けの減税に対して大きくは反対しないと見られていることだ。
もちろん、トランプ米大統領が撤廃すると宣言していたオバマケア(健康保険)の問題から、選挙資金や倫理規則の変更など、ねじれ議会によっていろいろな行き詰まりが起こるだろう。しかし、共和党も民主党もインフラなどにおいては意見を揃えると考えられる。今回の中間選挙に対するマーケットの好影響は、12月の利上げに対する予想を強調するものになり、 ドル高が導かれるだろう。
木曜日には FOMCが控えている。FOMC では連銀は金利を据え置し、12月の利上げ見通しを繰り返し述べると考えれている。 地区連銀経済報告(ベージュブック)を基に考えると、9月の会合以来中央銀行は通商問題による不確実性を心配していることが分かる。9月は米国経済において改善より後退のほうが勝っていた。下の表(画像)で示されている通り、 消費者支出、インフレ、住宅、製造業において弱かったことが分かる。 労働市場は強く、各連銀は人手不足を報告していたが、労働市場の縮小の可能性を考え、多くの企業は今期のガイドライン(業績見通し)を慎重にしていた。これを考慮すると、今月のFOMCへのドルの反応は、プレスカンファレンスもなかった9月の利上げの後で、限定的だと考えられる。ドルの上昇は限定的だが、利上げ据え置きはドルをやや押し上げるだろう。