ポイント
- 主要インデックスは下落、S&Pは調整局面に入る
- 国債は上昇、ドルも上昇、原油と商品はさらなる圧力がかかる
- ビットコインは4000ドルを切る
先週の原油の50ドルに向かう下落は、株式の圧力になっていた。先週金曜日のダウ平均、ナスダック総合指数は下落し、両インデックスにとって厳しい週になった。しかし、もっとも下落したインデックスは S&P 500であった。金曜日のS&P 500は0.66%下落し、最高値から合計で10%の下落となり本格的に調整局面に入ったといえる。
S&Pの下落は、続落する原油価格によるエネルギー株の下落によって引き起こされていた。また、原油下落は過剰供給によって引き起こされている。 また、ドル高によって原油を押し下げる要因になっていた。
原油の続落はエネルギー株を下落させる
S&P 500
金曜日のS&P 500は0.66%下落した。デボン・エネルギー(NYSE:DVN)や、マラソン・オイル(NYSE:MRO)は4%下落し、エネルギー セクターは 3.14%下落した。コミュニケーション・サービスは、1.31%下落しエネルギーセクターに続き2番めに悪いパフォーマンスであった。
週次ではS&P 500は3.79%下落し、2週間では5.34%下落を拡大した。最高値から10%の下落となり調整局面に入ったと考えられる。現在はS&Pは、約半年前の5月3日以来の低水準になっている。
3日半にわたる下落は、サンクスギビングの週では1939年以来3番目に悪いパフォーマンスである。 テクノロジー株は6.05%下落し、エネルギー株の-4.87%を上回る下落であった。
S&P500はすべてのセクターで少なくとも1%下落していた。公益事業は1.4%下落した。
ダウ平均
金曜日のダウ平均は0.73%下落した。しかし、10月3日の終値以来9.54%の下落であり、まだ調整局面に入ったとは言えない。一方で、これはダウ平均の強さと見受けられるが、大切なのは米中間の貿易戦争が始まる前の低水準レベルまでに下落していることだ。
ダウ平均に上場している多国籍企業の成長は、輸出に頼っている。また、ダウ平均は主要なインデックスの中で唯一調整局面に入っていないインデックスであるが、先週は4.44%の下落、2週間で6.62%の下落である。
ナスダック総合指数
金曜日のナスダック総合指数は0.48%下落し、週次では4.26%、2週間では6.32%の下落であった。8月29日の最高値の終値から、14.68%下落している。水曜日に一時15%を超えたが、2016年の調整(下落)以降に始まった上昇トレンドラインで反発している。テクニカル的には、50日線が200日線を今にも下回ろうとしている。
Russell 2000
金曜日のRussell 2000は0.27%の下落で、主要インデックスの中でもっとも下落幅が小さかった。週次では2.54%下落し、2週間では3.85%の下落であった。テクニカル的には、50日線が200日線を下回ってデットクロスを形成していた。Russell 2000は最高値から14.83%下落し、ナスダックに続いていて2番目にもっとも大きな下落幅である。
株式市場における6つのリスク
株式市場は6つのリスクに直面している。
- 貿易戦争:貿易戦争によってグレート・リセッション(2000年代後半から2010年代初頭の世界的な経済的衰退時期)以来の、世界経済同時成長を終わらせた。
- 中国経済の衰退:貿易戦争の結果、中国の需要は急減した。これにより悪い連鎖反応が起きている。
- ドイツの経済成長の低迷:中国と同様、貿易戦争による影響を受けている。
- FRBによる利上げ:記録的な上昇相場が 利上げによって終わる懸念
- 原油の需要低下:原油価格の低下は、株式市場と商品市場に影響がでる
- テクノロジー株の下落:テックセクターは主要因インデックスの大部分を占める。さらなる規制は、株価の投げ売りが続くと考えられる。
一方で、米国経済はいまだに堅調であることが経済指標からわかる。投資家は、この株価の下落をホリデーセールとして割安感を感じ買う可能性はある。また、米国経済の柱である小売売上高は堅調であり、これからホリーデーショッピングシーズンに突入する。
数十年でもっとも低い水準である失業率や、平均時給はインフレや原油の続落を緩和させる水準であり、このように米国経済の堅調さを表す数字は多くある。最近の小売業は実店舗に加えてeコマースにも適応している最中であるが、小売売上高は去年より5%の上昇が見込まれている。しかし、前年度の5.6%の成長よりはわずかに少ない。
皮肉なことに、現在のリスクオフのムードは、活発な消費者の動向と相反している。今年のサンクスギビングの、オンライン売上は記録的水準である。投資家を拒んでいるものは、企業の決算や、この記録的な上昇相場が終わるのではないかという懸念である。
先月にS&P500が2回目の10%の下落を記録して以降、投資家は公益事業や生活費必需品など、財政が安定して配当金が高い安全な株を求めている。Dubravko Lakos-Bujas氏が率いるJPモルガンのストラテジストは、現在、リスク株に比べて安全株に偏っており、これは「景気後退に向かっている」と述べた。
「私たちは経済指標と相反する、行き過ぎた安全株への転換を目にしている」と、JPモルガンのストラテジストは今週はじめの報告し、「景気サイクルの退行懸念は、まだ判断するには早すぎるだろう」と述べている。
米10年債利回りは、10月の高値を超えることを失敗後、10月の安値水準まで下落し、ダブルトップを形成した。現在のところ、100日線に支えられている。もし、3.00の水準まで下落するようなら、さらに下落する可能性がある。200日線を下回ったら、2.900%まで下がるだろう。
ドルはセーフヘブン通貨として需要があるが、米国外投資家による米国債の需要はドル高を加速させている。テクニカル的には、ドルの上昇チャネルラインの下限で反発して上昇している。
金曜日の原油は合計で6.66%下落した。トランプ米大統領は引き続きサウジアラビアに原油を下げる要求や、株式の下落によって経済成長が停滞しエネルギーへの需要が減るのではないかという懸念によって原油価格は押し下げられている。
皮肉にも、これらは悪循環を生んでいる。金曜日の株式の下落は原油価格の下落によって引き起こされ、それによって株式市場はさらに下落した。その株式市場の下落が今度また商品への圧力になっている。テクニカル的には、ベアリッシュ・フラッグ・パターンを形成し、10月29日から11月13日に見られた19%の下落が繰り返される可能性がある。50日線は200日線を下回りデットクロスしている。
日曜日のビットコインは4.4%下落し、この原稿執筆時で3752ドルである。2日間で15%の以上の下落であり、11月下旬に書いた記事通りに3000ドルに向かって35%以上下落している。
現在のビットコインの13ヶ月連続下落は、アナリストの意見を2極化させた。ビットコインは現代に適応せず過去のものになっているという人もいるが、他の人々はビットコインは底を打ちこれから上昇すると考えている。