現在の株式市場にとって、米中貿易摩擦の前進が最大の好材料となるであろう。現在、米中貿易摩擦は激化しており、米中間の全貿易額の半分に関税が掛かっている。貿易戦争は2018年の株価の下押し圧力となり、そして2019年の市場へ不確実性を与えている。
アップル(Apple)(NASDAQ: AAPL)やウォルマート(NYSE: WMT)などの米国内の主要小売業者は、貿易摩擦の進展から恩恵を授かれるだろう。ブエノスアイレスでのG20首脳会議に合わせて行われたドナルド・トランプ米大統領と習近平国家主席の会談の後、両国は交渉を再開することに合意した。それに伴って、米国は中国からの輸入品2000億ドル相当に関税を課す計画を延期することにした。一方、中国は米国の農産物、エネルギー、その他の製品の輸入を増やすと同時に、米国企業の中国市場へのアクセスを緩和することにした。
今週、これらのマクロ環境の変化に加えて、以下の三つの銘柄もまた、企業固有のニュースによって投資家たちから注目されるであろう。
1.クローガー
スーパーマーケット大手のクローガー(Kroger)(NYSE: KR)は、12月6日木曜日の市場開場前に第3四半期決算を発表する予定だ。
アナリストらは、第3四半期の一株あたり純利益(EPS)を0.43ドルと予想している。アナリストの平均推計によると、売上高は276億9000万ドルとほぼ横ばいで推移すると見込まれている。
強い消費支出と同社が好軌道に乗っているという期待から、株価は今年8%上昇した。アマゾン(NASDAQ:AMZN)が2017年にホールフーズを買収し、食料品業界に参入して以来、同社の熾烈な競争相手となっている。
アマゾンに対抗するために、同社はミールキット企業のホームシェフ(Home Chef)を買収した。また、より多くの場所で迅速な配達を提供するために、食料品の当日配達サービスを提供しているサンフランシスコのインスタカート(Instacart)との提携を拡大した。さらには、革新的な英国の食料品eコマース企業のオカド・グループ(Ocado Group PLC)(LON: OCDO)との提携を発表した。
第3四半期決算では、投資家たちは、これらの施策によって同社が食料品業界の急激な変化に耐えられるか否かを知ることになるであろう。
2.ブロードコム
大手半導体企業ブロードコム(NASDAQ:AVGO)も、12月6日木曜日の市場閉場後に第4四半期決算を発表する予定だ。この発表は、半導体業界にとって最悪の四半期を反映しているだろう。需要の悪化は大手半導体企業の株価にとって悪材料である。
同株は、7月初めにニューヨークのソフトウェア企業CA(NASDAQ:CA)を現金約190億ドルで買収することを発表して以来、売り圧力にさらされている。投資家たちは同株の取引を避け、株価を12%引き下げた。
一部のアナリストの間で、大型コンピューター用のソフトウェアを作るCAの買収は失敗であり、同社にシナジーはないだろうという見方がある。同社経営陣は、第4四半期決算で、CAの買収による可能性と将来的な成長性を投資家たちに再度説明しようとするだろう。
概してアナリストたちは、第4四半期決算で同社が54億ドルの売上高と5.55ドルの一株当たり純利益(EPS)を記録することを予想している。
3.グーグル
グーグル(NASDAQ: GOOG)のCEOであるサンダー・ピチャイ氏は、同社の膨大なデータとフィルタリング慣行を守るため、12月5日水曜日に議会の前で証言する予定だ。同氏は、米国下院の委員会に出席し、そこで共和党から保守派のユーザーへ偏った姿勢をとっているか否かについて質問を受けるであろう。
「公聴会では、グーグルのフィルタリング慣行に関する潜在的な偏見とさらなる透明性の必要性を検証する」と下院司法委員会は記者会見で語った。
Googleの親会社である Alphabet Inc.の株価は、7月に記録的な高値の1274ドルに達して以来14%減少した。 Googleを含むすべての大手ソーシャルメディア企業にとって、政治的操作を抑制し顧客データを保護するための政府からの規制が最大の脅威である。ピチャイ氏の証言によって、グーグルの株価は動くであろう。