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アップルの業績下方修正、今後再起できるか?

発行済 2019-01-08 15:47
更新済 2020-09-02 15:05

アップル(Apple) (NASDAQ:AAPL)のような、世間から絶大な信頼を得る大企業が見通しを誤ると、それによる損失を早急にカバーすることは難しいだろう。先週水曜日の取引時間終了後、同社ティム・クックCEOは来月発表の四半期決算において、ホリデーシーズンの売上高が予想を大幅に下回る可能性があることを示唆した。

投資家に向けた文書において同氏は次のように述べた:

「我々は長年にわたって経営を続けてきたが、アップルは常に逆境を上手く利用して、販売戦略を再検討し、弊社の特性でもある柔軟性や順応性、想像力を活用し、結果的により良い業績を残してきた。」

AAPL 週足

突然の業績下方修正は市場を混乱させ、翌日木曜日の取引開始時において同社株の売りが先行した。取引終了時までに同社株は10%の下落を見せ、過去6年間で最大の下落幅となった。

今回の大幅下落は、発表のタイミングが引き金になったと考えられる。同社が2018年第4四半期決算(11月発表)において、看板商品であるiPhoneの好調な販売見通しを立てていた僅か2ヶ月後に、今回の売上高減少が発表されたのだ。

同社が業績下方修正を行ったのは過去20年間で初めてである。中国市場の低迷により、12月29日までの第4四半期売上高は、当初予想していた890-930億ドルから約840億ドルまで下落するとみられる。投資家の最大の懸念は、今回の下方修正が業績低迷の始まりなのかどうかということだろう。

成長に向けたアップルの課題

スマートフォン市場がピークを迎えるとともに格安スマートフォンが市場に参入している中で、同社が消費者に対してiPhoneの購買を促せるかどうかが、今後の成長に向けた課題である。世界で売られている他のスマートフォンと比較して、iPhoneの平均価格は約5倍となっていると、サンフォード・C・バーンスタイン社のアナリスト、Toni Sacconaghi氏はウォール・ストリート・ジャーナル紙で述べている。

同時に、全てのスマートフォンの買い替えサイクルは長期化しているようだ。スマートフォンの販売動向を追っているBayStreet Research LLCの推定によると、米消費者は4年前24.4ヶ月で買い替えていたが、2018年第4四半期には36ヶ月になった。また同社は、今年度にかけてサイクルは38.7ヶ月へと長期化すると予想している。

同リサーチ会社によると、米中間の貿易戦争が早急に改善しない限り、マクロ環境の改善が同社の業績見通しを大きく変動させることはないであろう。市場が不透明であり、同社の主要市場である中国の景気減速が見られる中で、そういった悲観的な見方をすることは理にかなっていると思われる。

しかし、我々は同社の業績拡大や大規模な技術革新に引き続き期待している。市場はそういった企業本来の能力を計算に入れていないと考えられる。

同社が、製品改良や最新技術の開発によって消費者を感動させる能力を急に失ったと理解するのは困難である。同社には、中国市場において厳しい状況を打破してきた歴史がある。2016・17年度の中国における売上高はともに下落したが、全体的には好調を続けている。

同社には中国の他にも成長が見込める市場が存在する。それはインド市場である。インドには大規模なスマートフォン市場が存在しており、未だ未成熟である。しかし同社のインドでの売上高はインドにおける全スマートフォン売上高の僅か1%しかない。

ティム・クックCEOがインド市場での課題としていた、インドでのスマートフォン製造開始、アップルストアの展開ができれば、同社はインド市場での販売低迷を脱することができるだろう。

同社はスマートフォン業界のイノベーションを担う主力企業であり続けている。スマートフォン業界が根本的な変化を迎えるとすれば、その変化に早急に対応できる能力と財力を持っているのは同社であろう。

同社にはiPhone以外にも、アップルウォッチや音楽サービス、アップルストアといった数多くの製品が存在しており、顧客ロイヤルティの向上や売上に貢献している。また昨年8月から、アップルブランドの車が2023年から25年の間に販売されるといった噂が広がった。

要点

ウォーレン・バフェット氏のような成功したバリュー投資家は、同社のビジネスモデルを評価しており、同社株が長期投資に最適であると考えている。

以前から繰り返し述べているように、同社株のような短期的な後退局面に対して強いファンダメンタルズを持つ株式はショートするべきではない。長期投資を行うのであれば、直近の下げ相場は買い又は追加購入のチャンスであろう。

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