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今週の商品市場:原油価格は55ドルまで上昇の見込み、パラジウムは急落の可能性

発行済 2019-01-22 18:33
更新済 2020-09-02 15:05
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石油輸出国機構(OPEC)が原油市場の過剰供給を解消するために減産を行ったことや、意見の相違はあるものの、米中が貿易戦争を終結することができるだろうという期待が高まったことで、今週の米原油価格は55ドルまで上昇する可能性がある。

貴金属市場では、パラジウムは8月から70%上昇し、そのうち今月では10%上昇しており、現在最も高価な金属となった。しかし、アナリストはこの上昇に対する調整(下落)が近いことを予想している。

原油では、加盟国が団結していない、また公約した減産に貢献していないという噂を打ち消すために、OPECがOPECプラスの加盟国であるロシアやマレーシアなどの原油生産量を公表した。

ニューヨークにあるEnergy Management Instituteのリスク・貿易ディレクターであるDominick Chirichella氏は以下のように述べている。

「OPECが国ごとの減産量を発表したということは、OPECが世界的な供給と需要のバランスを正常に戻すこと、また原油在庫量を調整することに本気で取り組んでいるということだ」

WTI原油が60ドルになるまで「強い買い」?

WTI原油先物価格は18日に6週間ぶりの最高値である53.90ドルまで上昇、21日にはアジア市場で54.38ドルにまで上昇した。Investing.comにおける日足のテクニカルサマリーでは、WTI原油は「強い買い」である。テクニカル分析では、50日移動平均線が、現在60ドルの水準にある100日移動平均線に達した時のみ「売り」を示す。21日、米原油先物市場はキング牧師誕生日のため休場であり、22日に再開する。

原油 1時間足

世界最大の原油消費国である中国が、貿易戦争終結のため米国からの原油輸入量を年間1兆ドル以上増加すると提案したことによって18日の原油価格は上昇した。だが、中国側が今後6年間に渡って輸入量を増やそうとしているのに対して、米国側はもっと早く輸入量を増加して欲しいと考えているため、ロバート・ライトハイザー米通商代表はこの提案にそこまで乗り気ではなかったと言われている。

OPECや米中貿易戦争以外にも、ベーカー・ヒューズによる米石油採掘装置(リグ)稼働数が21基の減少と約3年間で最大の週次減少であったことを背景に、WTI原油は55ドルまで上昇した。

米エネルギー情報局(EIA)が先週、米国の原油生産量は2020年までに過去最高である日量1300万バレルに達するだろうと公表した。1300万バレルはサウジアラビアやロシアの生産量よりも遥かに多い。一方で石油採掘装置(リグ)稼働数が減少したことによって、現在、また2014年から2017年にかけての過剰供給の原因であった米国の原油生産量増加が続くのかどうか疑問に思うであろう。

シェールオイルが市場を動かす

ニューヨークにあるEnergy Intelligence社は週刊会報にて、原油供給増加によって原油セクターは不透明になっており、OPECによる需給バランス調整が難しくなり、また原油価格は素直に需給バランスを反映されなくなっていると述べている。

石油専門誌のPetroleum Intelligence Weekly(PIW)は、以下のように述べる。

「今後シェールオイルの動向が原油価格を決めるだろう。原油価格は大体50ドルから80ドルまでを行き来しているが、これはシェールオイル生産者が減産、または増産するかによって左右されるだろう。しかし一方で、シェールオイルは大企業のもと大規模に開発されるようになって行くに連れ、価格の影響を受けないようになっていくことが伺える」

パラジウムについては、一部の人は1500ドル以上に上昇する可能性があると考えているが、一方で現物価格が先週1オンス1400ドルにまで達した後、今後大幅な下落を見せるのではないかという考えが広がっている。

パラジウムは1250ドルまで下がる可能性あり

金価格は1月4日に1300ドルを越えて2019年最高値であったが、パラジウムはそれを超えた。その後、パラジウムの現物価格は17日に初めて1400ドルを越えて記録を塗り替えている。

パラジウムの急上昇は、中国における自動車保有台数増加政策によって支えられた。Metals Focus Ltd.が、今年パラジウムの供給が8年間連続で不足するだろうという見通しを立てたことも上昇に貢献した。

パラジウム 週足

テキサス州AddisonにあるDillon Gage Metalsのアナリストであり執行副社長であるWalter Pehowich氏は、パラジウムの2019年供給不足量予想が25万から100万オンスに開いているので、実体経済からかけ離れた価格高騰が起きており、実際にはパラジウムの価格は低い、と述べている。

Pehowich氏は「パラジウムがどれだけ高く、またどれだけ短期間に上昇したかを考えると、いつパラジウム価格が急落してもおかしくないであろう。特に、好材料が尽き始めたら」と述べた。

シカゴにあるRJO Futures社の貴金属シニア・マーケット・ストラテジストであるPhilip Streible氏も、「1500ドルを軽く超える可能性もある」ものの、急落するかもしれないと考えている。

同氏は、「パラジウム価格は1250ドルあたりのもっと妥当な水準まで下がると見込んでいる。少しの下落は、多くの人は狼狽えることになるだろう」と付け加えた。

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