2019年1月24日の外国為替市場
本日は欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表や米政府閉鎖の終結に向けた上院投票が控えており、外国為替市場にとって目を離せないものになるだろう。日本時間21時45分からECBの会合が開始され、その後の日本時間4時30分に上院投票が行われる。
約2週間ぶりにユーロはドルに対して高値で取引されている。しかし、今回のユーロ高はショートカバーによるものである。実際、ユーロ圏の政治家の大半は、ユーロ圏の成長が鈍化しており、景気後退のリスクがあることを述べている。マリオ・ドラギECB総裁もまたプレスコンファレンスにて、同様のことを述べるだろう。なぜなら、ユーロ圏の経済成長が鈍化しているだけでなく、ハードブレグジットへの懸念も払拭されていないからだ。先週、同氏は景気後退が予想より長引く可能性があるため、景気刺激策が必要であると述べた。
下の表を見ると、独失業率は改善され、小売売上高は上昇しているが、ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)、製造業購買担当者指数(PMI)、企業活動は低調である。これらのこと考えると、同氏がプレスコンファレンスにてハト派となることは間違いないだろう。ECBが経済成長率やインフレの予測値を引き下げ、ドラギECB総裁が鈍化する経済成長に焦点を当てるならば、ユーロ/米ドルは容易に1.12まで下落するだろう。とはいえ、好調な独失業率と小売売上高を考慮して、ドラギECB総裁が中立な姿勢を保とうとするならば、ユーロ/米ドルは1.145まで上昇する可能性がある。
米政府機関の閉鎖は34日目に突入し、米政府内での対立が高まっている。本日、ドナルド・トランプ米大統領は、来週に一般教書演説を行うことを予定していると述べた。だが、ナンシー・ペロシ下院議長は、政府閉鎖が続く間は通常演説会場となる下院本会議場を使わせないと拒否した。トランプ大統領とペロシ議員は対立し続けていたため、ペロシ議長の反発は驚くようなことではないが、両者の関係性に何の進展もないことが分かる。24日、上院はトランプ大統領の求める国境の壁建設資金を含む共和党の予算案と、民主党による2月8日までのつなぎ予算案の採決を行う予定である。共和党も民主党も過半数を持っておらず、お互いの予算案を否定し合っている状況を考えると、可決することは難しく、政府閉鎖は続くと思われる。仮に予算案が通過したならば、ドルは上昇するだろう。
一方、豪雇用者数の公開が予定されている。本日の豪ドルは反発しているが、PMIレポートによると、サービス業と製造業における労働市場が著しく弱いことがわかる。雇用の伸びが今後も予想以上に悪化する場合、豪ドル/NZドルは3週間ぶり安値となるだろう。ニュージーランドの好調な物価指数を受けて、NZドルは0.68ピップス上昇した。カナダドルはほぼ横ばいであったが、小売売上高が予想以上に軟調であったことは、カナダドルにとって下押し圧力となった。カナダ銀行のステファン・ポロッツ総裁によると、米政府機関閉鎖による影響は実際のところ皆無であるとのこと。
ブレグジットの不確実性にも関わらず、ポンドは高値を記録し続けている。英国EU離脱協議に進展はなく、リスボン条約第50条延期の要請もないが、ポンド/米ドルは2ヶ月ぶりの最高値を記録している。明らかに投資家は、議会が合意なき離脱を回避して事態を終息させることを予想している。ポンドを押し上げている要因としては、昨日の好調な失業給付要求者数とECBのメンバーあるブロードベント氏の本日の声明である。同氏は、中立的な金利水準はもっと上になるだろうと述べた。