先週はFXにとって大きな動きがあったが、月曜日は通貨にとって比較的静かな日だった。
米ドルは下落を再開し、英ポンドをのぞくすべての主要通貨に対し安値で取引された。ブレグジットは最も注目されているイベントの一つだが、残念ながら英国の欧州連合からの離脱は不透明感が漂っている。EUは離脱協定に関しては再交渉をするつもりはなく、英国は4月12日までに現在の協定案に同意するか、長期の延期の選択をするか、または合意なしを選択する必要がある。
メイ首相は月曜日に、保守党で首相を交代させようとするクーデターの動きがあり、週末までにその座を追われる可能性があると認めた。英ポンドはすべての新しいニュースに反応しつつも、年初来の最高値近くをなんとか維持している。だが下値不安は尽きない。現時点で投資家はメイ首相が退任し、議会がブレグジットを阻止して英ポンドの上昇につながる長期延期の要請をした後、英国がEUに戻るという仮定の下で動いている。この想定が崩れればポンドは下への動きを強める可能性がある。
米ドルに関しては、今年利上げをしないという連邦準備制度理事会(FRB)の決定の重要性を考えると、米ドルの下落を意外に思うべきではない 。しかし、月曜日に発表された米国の経済指標がないので、ドルの下落を続けたのは米国債利回りの下落と利回り曲線の逆転(逆イールド)が理由だった。
10年債利回りが2.4%を切り、 2017年12月以来初めて 3ヶ月物米国債利回りを下回った。このような利回りの逆転は、不況が来るかもしれないという強い警告となる。月曜日にはユーロや豪ドルは反発したが、株価が下落し続けるのであればそれを維持するのは困難だろう。
ユーロが1.13を超えて推移している主な理由は、ドイツの製造業PMIの急激な落ち込みにもかかわらず、ドイツのIFO景況指数 が3月に改善したからだ。7ヶ月ぶりに、ドイツの企業はユーロ圏経済の見通しについて楽観的となったのだ。欧州中央銀行の経済見通しと同じではないが、これまでユーロを購入する理由が1つも見つからなかったトレーダーにとっては、大いなる希望となっている。
ただし水曜日に行われるドラギECB総裁の講演の前に勝利宣言するのは時期尚早だ。 2人のECBメンバーが月曜日に講演し、どちらも過度に楽観的に見えなかった 。ハッサン・エストニア中銀総裁はユーロ圏の減速が中期的に続くかもしれないと考えており市場が大きく動揺する場合に量的緩和が再開されるかもしれないと言った。 クーレ専務理事は、ECBが「できることの限界に」いるわけではないと述べた。