今年の天然ガスの貯蔵設備への注入はまだ始まったばかりだ（米国では天然ガスが4月から11月に在庫を積み上げる）今後、春に向かって天然ガス価格に関する議論は熱くなるだろう。
米国エネルギー情報局(EIA)は、4日日本時間午後11時30分に天然ガスについての週刊レポートを発表する。例年より寒くない中で先週の生産量を考慮すると、市場予想では100億立方フィートの天然ガス貯蔵量だと見込まれている。（追記：結果は230億立方フィート）また、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の5月限天然ガス先物市場は3日連続で下落しており、現在のところ今週は1%安でmmBtu(百万英熱量)あたり2.677ドルとなっている。3日の安値は2.659ドルで、2か月ぶりの安値となった先週の2.656ドルに迫っていた。
昨年から一転、天然ガス需要冷え込み
極循環が引き金となった記録的な冷え込みによる暖房需要は、米国における天然ガス消費を爆発的に増大させた。2018年11月、ガス価格はmmBtuあたり5ドル近くにもなる最高値を記録した。
しかしながら春の訪れに伴って気候は穏やかになり、季節的需要は減少することが予想される。
Investing.comのテクニカルサマリーは5月限天然ガス先物市場を「強い売り」としている。
インフラ整備による問題
米国最大の産油地で天然ガスも多く産出する西テキサスのパーミアン盆地におけるパイプライン不足は、天然ガス価格をたびたび左右してきた。天然ガスの需要の低下や、最近起こったニューメキシコの重要なパイプラインの設備不良は在庫増加の問題を悪化させているとアナリストは述べている。
ヒューストンを拠点とするエネルギーコンサルティング会社Gelber & AssociatesのアナリストであるDan Myers氏も、今後の天候は暖房を付けるほど寒くなく、冷房を付けるほど暑くもない気候が予想されるなかで、短期的なガス貯蔵量の増加を懸念しているという。
穏やかな陽気、記録的な生産量、天然ガス輸出は減少
穏やかな気候を尻目に、乾性ガス生産と液性天然ガス(LNG)の生産・輸出動向が市場の注目を集めているだろう。一部アナリストは今週中には、天然ガスの在庫は300億立方フィート増えると予想している。平均予想は150億立方フィート増である。
Myers氏は「天然ガス需要は冷え込んでおり、今後も天然ガス価格は下落していくだろう」と述べる。
4月後半の冷涼予報で価格回復か
しかし、ちょうど2週間後では当初の予想より涼しくなることが判明した。もし修正された予想通り涼しくなれば、貯蔵量が減り、価格の回復に繋がる可能性がある。
EIAのデータによると、先週の100億立方フィートの注入で貯蔵ガス量が約1.117兆立方フィートに達したが、依然として2014年以来最低水準ではある。