* 決算報告日:16日寄付き前
* 予想売上高:1251億5000万ドル
* 予想EPS:1.02ドル
ウォルマート(NYSE:WMT) の2-4月期決算(2019年度Q1)において、特に注目されるのは既存店売上高とEコマース成長率だろう。
2015年第3四半期に始まった既存店売上高の回復は、2019年に入り加速している。
2月の決算報告では、米国における既存店売上高は17期連続で増加していたことが明らかになった。
この成長は多大なる努力に裏打ちされている。同社は商品ランナップの充実や食料品の強化を目指し、オンラインチャネルの改善に巨額の投資を行ってきた。
ウォルマートのEコマース事業は過去3期において約40%拡大してきた。ただし、Eコマース大手アマゾ (NASDAQ:AMZN)と肩を並べるのはまだ先になるだろう。
一方で、アマゾンとの競争に向けウォルマートはより効率化を図っている。また、Eコマース他社にはない実地店舗という強みを最大限に生かすチャンスもある。
最近のアマゾンとウォルマートの競争を象徴する例として、4月にアマゾンが同社のプライム会員を対象に、無料の2日以内配送を翌日配送に移行することを発表したが、ウォルマートは5月14日に翌日配送サービスを発表している。
同社の加速する成長スピードは株価を支えてきた。去年S&P 500全体では4%高であったが、ウォルマート株は19%高となっている。
中国リスク
前進を続けるウォルマートだが、小売セクターの見通しはさほど明るくない。
米中貿易摩擦により消費者心理悪化とコスト増が懸念され、同セクターは逆境に立たされている。
米国の追加関税が発動後、中国も報復関税の発表があり激化の一途をたどっている。
昨年9月、ロバート・ライトハイザー米通商代表に宛てた書簡の中で、ウォルマートは中国に対する25%の追加関税は同社のコスト増につながると述べた。
その書簡は「消費者負担が増えると同時に、企業のへの利益が縮小する。あるいは、消費者がモノを買わなくなるかだろう」といった内容であった。
政治情勢を考慮すると、消費者物価の上昇がウォルマートにとって間違いなく逆風になるだろう。我々はそれでもなお同社が競合他社から頭一つ抜けていると見ている。
仮に米中貿易摩擦が長引いたとしても、同社の誇る圧倒的な事業規模により、他社より良い価格を提供することが可能だと考えられるからだ。
総括
短期的なリスクは存在するものの、長期的な投資家にとってはウォルマートが良い選択肢の一つになるだろう。また、世界経済が停滞するような状況に備えた安全なポートフォリオに加える候補としても最適だ。
予想PERが約20であることを考慮し、同社株価は高いと評価する投資家もいるだろう。しかし、この視点は同社が5年前とは全く違う会社であるという事実を無視している。
好調なEコマースとコア事業である実地店舗運営を考慮すると、仮に下げ相場を迎えたとしても、それは長期保有に向けた良いエントリーポイントになるだろう。