キャノピー・グロース(NYSE:CGC)、(TSX:WEED)は、大麻セクターの下降トレンドを転換させてほしいという投資家の期待に応えることができなかった。しかし投資家はそのフラストレーションを解消させるべきかもしれない。
世界最大手の大麻企業である同社は20日、2019年度決算報告を行った。軟調な結果を受け、21日の同株は一時8%安となった。第4四半期(1-3月期)の損失額は市場予測の4倍となった。
株式は急落したが、同社は以下のような力強い声明を発表している。
「我々は、大麻セクターの多様なセグメントにおける戦略的ポジショニングや、市場機会の長期的な見通しに焦点を合わせている。(収益性改善に)時間はかかるが見通しは明るいので、長期投資家には安心してほしい」
25日、キャノピー株はニューヨーク証券取引所で2.14%安の39.7ドル、トロント証券取引所で52.45カナダドルで終値を迎えた。しかし、前年比で同株は米国で23.65%、カナダで22.68%上昇している。
他に何事もなければ、キャノピー・グロースの最新の決算報告結果は、大麻が他と異なる新セクターとして確立されたということを意味する。カナダに拠点を置く同社は先週の決算報告で1-3月期純利益が9410万カナダドル(7141万米ドル)で、前年同期の2280万カナダドル(1730万米ドル)と比較して312%高となったことを報告した。これはアナリスト予想を上回る結果となった。
悪い側面
しかし株主に帰属する純損失は3億3560万カナダドル(2億5470万米ドル)となった。また前四半期(10-12月期)はEPSがマイナス31セントであったのに対し、1-3月期はマイナス98セントとなった。
1-3月期の営業費用は前年同期比332%増の2億4290万カナダドル(1億8430万米ドル)。また2019年度通期の営業費用は前年比347%増の6億6600万カナダドル(5億540万米ドル)となった。
良い側面
このように経費が増大しているため、カギとなる2つの指標の堅調ぶりが見落とされているかもしれない。まず1つ目は純利益が1-3月期で313%増、2019年度通期で191%増となったことだ。娯楽用大麻の収益は1-3月期は6890万カナダドル(5230米ドル)、2019年度通期で1億4050万カナダドル(1億660万米ドル)となった。しかし医療用大麻の売上高は昨年度の1950万カナダドル(1480万米ドル)から39%減の1160万カナダドル(880万米ドル)となった。
2つ目の良い知らせは準備金が増加したことだ。同社は準備金を1.298%増の45億1500万カナダドル(34億3000万米ドル)と報告した。収益性の高い食用大麻が年内に販売開始されることもあり市場心理を回復させている。
キャノピーを支える好材料
他にも同社が現在進めている事業は複数存在する。まず同社とコロナ・ビールのメーカーであるコンステレーション・ブランズ(NYSE:STZ)との業務提携は同社が飲料市場に参入する態勢が整ったことを意味している。また英スキンケア企業のディスワークスの買収は国際的な健康市場への参入のカギとなる。さらに先週同社が米大麻企業アクレージ・ホールディングスを34億米ドルで買収したことは、米国で大麻が全面解禁されてすぐに米大麻市場へ参入する助けとなるだろう。これらの好材料を考慮すると、キャノピー・グロースの勢いは無視できない。
キャノピー・グロースの好材料はさらに続く。25日、同社はサスカチュワン州北部で大規模な屋外栽培事業の新規ライセンスを取得したと発表した。160エーカーにも及ぶ畑は屋内施設よりも低コストで同社の栽培能力を高めることができる。また同社は同日、既存の4000エーカーの畑を1000エーカー拡大し、大麻の栽培能力をさらに増強させることを発表した。この計画は、飲用、食用、吸入用のカンナビノイドの生産の拡大を目的としている。
投資家たちは収益性が単に大麻の合法化からもたらされるものではないというメッセージを理解しているだろう。またキャノピー・グロースの発表した決算全てを好感したわけではないだろう。しかし大麻合法化に加え、今年中にカナダの店頭に並ぶとされる食用、飲用大麻など多くの好材料が存在している。