ドルインデックスの上昇が続いており、米ドルの強気相場は健在だ。
背景には7月5日に発表された6月米非農業部門雇用者数が予想を上回り大幅増となったことがある。
今週最も重大なイベントリスクは9日午後9時45分からのパウエルFRB議長議会証言だ。
パウエル議長の発言内容によって今月末のFOMCまで米ドル相場が大きく左右されることになる。
6月雇用統計発表前、FF金利先物市場は7月FOMCにおける25bpの利下げを75%、50bpの利下げを25%織り込んでいた。現在は7月FOMCでの25bp以上の利下げを95%、また10月FOMCまでの追加利下げを80%織り込んでいる。
6月米雇用統計を受けて、FRBが7月利下げに踏み切るか否か注目が集まる。
6月FOMCでは、今後の経済指標の結果を見て金融緩和策の必要性を検討するとの意向が示されていた。
雇用者数は増加したもの、その他指標は概して軟調だ。失業率は上昇、平均時給は予想以下、住宅販売戸数はまちまち、消費者信頼感指数低下、製造業PMIとサービス業PMIも低下という結果となった。
6月米消費者物価指数(CPI)は11日午後9時30分に発表されるが、パウエル議長は9日の議会証言時点ですでにこのデータを把握していると見られる。
直近のFOMC声明の内容や前回の議会証言からの経過時間を考慮すると、今回の議会証言ではここ数か月でFRBが利下げを示唆してきた理由が十分に説明されると期待できる。
今年2月時点では米国労働市場は堅調で、FRBは金融引き締めを検討していた。またパウエル議長は経済見通しは明るいと明言していた。
FRBは6月、FOMC声明から「忍耐強く」という文言を削除した。また8人のFOMCメンバーが年内利下げ見通しを示した。
7月利下げは決定事項のように思える。しかし米ドル相場を見ると、市場はパウエル議長が利下げ観測を牽制する可能性に備えていることが分かる。
パウエル議長発言が楽観的なものであれば、ドル円は109台を突破しユーロドルは1.12台まで後退するだろう。
一方で経済見通しについて悲観的な発言が多くなされた場合、ドル円は107.50まで下がりユーロドルは1.13を上回ると考えられる。
ドルが上げ相場となる中、下落幅が最も大きかったのは円とフランだった。
8日に発表された軟調な5月独鉱工業生産もユーロドルを押し下げている。
一方でNZドルは堅調に推移している。
パウエル議長発言までは主要経済指標の発表がなく、為替相場は小動きになる見通し。