9日はリスク選好度の回復の流れがみられた。ドル円は、米国債利回りの上昇や株価の上昇に伴い、107円台に回復した。先週金曜日の米雇用統計は強弱入れ混じる結果であったが、10年国債利回りは1.6%以上にまで上昇した。
また中国人民銀行は6日、市中銀行すべての預金準備率において50bp引き下げを決定した。預金準備率の引き下げは今年3回目である。前回の1月に引き下げた時では、製造業PMIが好転したこともあり、中国経済の回復に期待がかかる。
8月の中国の貿易収支は、輸出・輸入共に前年割れとなり中国政府は景気刺激策に向かって動き始めている。輸出に関しては前年同月比で1%減である一方、輸入は6%減となっていた。先週金曜日ラリー・クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、先週初めに中国と電話会議を行い「非常にうまくいっている」と述べたが、関税が撤廃されるなどの進展がみられるまで、いかなる言及も信用に値しないだろう。
今月のFOMCまで1週間以上あり、それ以前に貿易協議でネガティブなニュースがない限り、ドル円の下落は限定的になり、豪ドルとNZドルは上昇すると考えられる。
今週の注目はユーロである。欧州中央銀行(ECB)は12日に金融政策を発表する。ユーロはECB緩和によって、売り圧力を受けることが予想される。また9日では、ドイツ政府による財政刺激策の期待が高まり、ユーロの上昇要因となっていた。ドイツは公共投資を増やすために、独立した公共団体を設立し厳格な財政ルールに接触しない「影の予算」の創設を検討しているという。また同日に発表されたドイツの貿易収支や経常収支は、市場予想を上回った。
英ポンドは先週金曜日、EU離脱延期法が承認されたことによって上昇傾向にある。この法案は10月19日までにEUとの間に離脱条件について合意できなければ、ジョンソン英首相は来年1月末まで期限延長をEUに求めることを義務づけられる。一方、ジョンソン政権ないは延期法を回避して離脱をする方法を模索しているという報道もある。
また10日は英雇用統計の発表があり、PMIのデータが弱いことを考慮すると、今回の雇用統計は弱含むことが予想されている。