アナリストはスナップチャットを運営するスナップ (NYSE:SNAP)に対して強気な見通しを示している。2017年のIPO後、激動の2年間を経て、市場はスナップの業績改善の動きに目を向け始めている。
スナップの株価は年初来で154%高となっており、2018年12月の安値からは193%高となっている。同社はナスダック・インターネット指数(QNET)の中でアウトパフォームしている。
2018年の同社はユーザー数の減少や経営幹部の辞任、スナップチャットの改悪など災難続きであった。しかしその後、同社は成長の兆しを見せている。
野村グループのインスティネット証券によると、スナップチャットの今四半期の新規ユーザー数は同社予測の2倍以上に達する可能性があると言う。
また同社によると、スナップチャットのダウンロード数は8月も引き続き強い伸びを示しており、前年比では21%増となっている。インスティネット証券のアナリストであるMark Kelley氏は、今四半期のユーザー数が550万人~1000万人増と予想しており、同社予想の200万人~400万人増を上回る見通しを示している。
スティーフル・フィナンシャルはスナップの投資判断を「買い」へ引き上げ、目標株価を17ドルとした。スティーフル社のアナリストJohn Egbert氏は、2019年下半期以降のスナップの成長に対して楽観的な見解を示している。
一方、モルガンスタンレーは、同社の広告事業の強い伸びや費用削減を評価し、投資判断を「中立」へ引き上げた。
モルガンスタンレーは「年初以来の力強い売上高・利益と、成長を推進する能力を市場は過小評価している」と記している。
スナップのゲーム事業や拡張現実(AR)カメラ機能は直近数ヶ月で非常に人気を集めている。
インスタグラム
スナップの業績改善やユーザー数の増加は、間違いなく株価のアウトパフォームの要因となっている。
特定のユーザー層が主に利用し、悪用の余地がほとんどないスナップチャットは、フェイスブック (NASDAQ:FB)やアルファベット (NASDAQ:GOOGL)などと比べ、規制の影響を受けづらいと考えられる。
しかし、フェイスブックの運営するインスタグラムは同社の脅威であり続けるだろう。フェイスブックがインスタグラムの姉妹アプリである「Threads」を発表した10月3日、スナップの株価は7.6%安となった。
「Threads」はスナップチャットとマネタイズの方法が類似している。実際、2016年にも、インスタグラムはスナップチャットのストーリー機能を模倣した。
また、同社の株価は、2017年のIPO直後に記録した最高値から40%以上下落していることにも留意すべきである。
総括
我々の見解では、スナップは値動きの激しい銘柄であり、長期投資には向いていないと考えている。スナップチャットのエンゲージメントはまばらであり、経営陣の離職率も依然として高い水準にある。また、インスタグラムは今後もスナップの脅威であり続けるだろう。このような要因を考えると、リスク回避的な投資家が投資すべき銘柄ではないと言える。