現在最もウォールストリートを賑やかせているのは、テスラだろう。直近の2四半期は好決算となり、株価は今年に入って急騰している。
テスラ株は2月6日の時点で年初来79.04%の上昇となっており、これはS&P500の企業の中でもトップである。今週4日に史上最高値である968.99ドルを打ってから、2日営業日連続の下落となり6日の終値は748.96ドルとなっている。
株価の急騰によって、今週4日の時点ではテスラの時価総額は約1600億ドルとなった。これはゼネラルモーターズ(NYSE:GM)、フィアット・クライスラー(NYSE:FCAU)、フォルクスワーゲン(OTC:VWAPY)すべての時価総額の合計よりも大きい。
もし今からテスラに投資するべきか考えているのならば、バブルかどうかよく見極めなければならないだろう。
実際、ウォールストリートのアナリストたちもテスラの見通しが明るいかどうかについて意見が別れている。
肯定派では、テスラは第4四半期において過去最高の世界生産台数と納車台数を記録し、2020年はさらに加速させていく計画をもとに株価は上昇していくと考えている。
また、テスラの上海工場(ギガファクトリー)の竣工と、年間36万の販売目標の達成などが業績見通しを後押しし、今後に同社が急速に自動車産業でメインプレーヤーとなる観測を強めている。
自動車業界の変化
テスラの業績は回復しておりイーロン・マスクCEOが今後の毎四半期で利益成長を見込む中で、自動車業界は根本的な変化が起こっているといえる。
ブルームバーグのレポートによると、今まで言われていたように伝統的な自動車メーカーが、電気自動車の分野でテスラに追いつくという通説は間違っているという。事実、イーロン・マスクはこの分野でリードを増やし続けており、数年後でこのマーケットで圧倒的なシェアを誇ることに王手をかけている。
ルシード・モータースのピーター・ローリンソンCEOはサンフランシスコで開かれたブルームバーグNEFサミットで「テスラは電気自動車分野で圧倒的な地位であることを認識している」とし、「テスラは伝えられているよりも段違いに進んでおり、そのギャップは広がるばかりで縮まっていない」とテスラを称賛した。
アナリストはテスラの目標株価を上方修正している。アーガス(Argus)のアナリストは、テスラが電気自動車の分野で圧倒的な地位であることを引き合いにし、テスラの目標株価を556ドルから808ドルまで引き上げた。
テスラ株投資への注意
一方で、この異常なテスラ株の急騰に対し多くのアナリストは、今後のテスラの業績に懐疑的な見方を示し警告を鳴らしている。
GLJ ResearchのGordon Johnson氏は、テスラの今の上昇を「ビットコインのクジラ上げ」になぞらえ、バブルであることを警告している。
2月4日のテスラ株の14日相対力指数(RSI)は92.5までのぼり、6日の時点では67.4までに落ち着いている。ブルームバーグのデータを参照すると、ビットコインが19511ドルまで上昇したときの14日RSIは91である。一般的に、RSIが70を超えたら買われすぎとされている。
一方で需給面を考慮すると、中国政府は昨年に電気自動車の購入補助金を縮小したことによってEV販売は悪化している。また米国ではテスラの購入に対する税額控除が2019年末で終了となっていることなどが、2020年のテスラ株の上昇を妨げる要因となるだろう。
総括
テスラの納車台数の増加と伴い、上海近郊のギガファクトリーの稼働開始は、テスラは成長軌道に戻ってきたと期待することができる。
しかしながら、まだテスラは安定した収益性があるわけではなく、通期で赤字を抜け出せていない。これらの業績といままでも乱高下してきた株価を見ると、現在のバブルの上げに乗ることはおすすめできない。