株式市場は過去4週間に渡って大きく値を下げた。米国における新型コロナウイルス拡大の影響を受け、大手テクノロジー銘柄も同様に下落している。
市場が調整局面入りする一方、一部の投資家は割安となった株式の買いに動いているだろう。
以下では新型コロナウイルスの終息に備えて、アップル (NASDAQ:AAPL) とマイクロソフト (NASDAQ:MSFT)を比較する。
アップル
NYダウ平均株価の構成銘柄であるアップルは、新型コロナウイルスによって最も大きな影響を受けている。1月29日の最高値である327.85ドルから3月23日までに約35%安となった。
しかし、株式市場が持ち直し始めると共に、同株は今月の最安値から約20%高となった。
新型コロナウイルスは、アジア市場で強い存在感を発揮するテック企業に大きな影響を与えている。アップルは収益の約20%を中国市場に依存しており、アジア諸国にサプライチェーンを有している。
新型コロナウイルスの拡大により、同社は様々な課題を抱えている。例えば、中国以外のアップルストアは閉鎖されており、米国では4月末まで従業員を自宅待機としている。
アナリストの懸念は、新型コロナウイルスによる混乱により、5G対応新型アイフォンの発売に遅れが出ることである。
しかし、新型コロナウイルスは一時的な問題として考えられており、同社のイノベーティブなエコシステムと莫大なキャッシュが投資家を魅了している。
エバーコアISIのアナリストであるAmit Daryanani氏は29日、キャッシュリッチなテック企業は「コロナウイルスの嵐を乗り切るのに最適である」と述べた。また、アップルは「我々の知る中でも最大級にキャッシュリッチである」と付け加えた。同社の短期負債と長期負債の合計が1080億ドルであるのに対し、現金は2070億ドルとなっている。
マイクロソフト
新型コロナウイルスの拡大にも関わらず、マイクロソフトはテレワーク需要の恩恵を受けている。
また、同株の長期的な好材料は、企業や政府のクラウドコンピューティングへの移行である。
同社は29日、「社会的距離の確保や自宅待機が強制されている地域において、我々のクラウドサービスの利用率が775%増となった」とブログ上に記した。
同社によると、ビデオ通話やチャットなどが行える同社サービスのTeamsは、デイリーユーザーが1週間で1200万人増となり計4400万人まで達した。また、同社は31日、Teamsにコンシューマー向け機能を追加することを発表した。
他方、マイクロソフトによると、一部ではスカイプが依然として用いられており、デイリーユーザーは先月比70%増の4000万人となっている。
同株は年初来で約1%高となっている。昨年は1年間で約60%高となった。
総括
アップル、マイクロソフトは両者ともに、強力なプロダクトと頑健なバランスシートを有しており、景気後退を耐え抜く最良の銘柄と言えるだろう。しかし、アップルの方がマイクロソフト以上にサプライチェーンの影響を受けており、短期的にはリスクの高い投資かもしれない。