新型コロナウイルスによる株式市場の下落は終わりを迎えたようだ。S&P500は9日、3月23日の安値から約26%高となった。
株式市場の上昇の背景には、新型コロナウイルスの見通し改善や政府による莫大な景気刺激策、減産合意への期待感などがある。
しかし、新型ウイルスの動向は不透明であり、企業業績の見通しも暗いため、現在の株高は不安定である。一部の米企業は今週、第1四半期決算を予定しており、業績悪化が懸念されている。
決算報告では、当面の景気の方向性や世界的なロックダウンが長期化した場合の最悪のシナリオなどを知ることができるかもしれない。以下は、今週決算報告を行う3銘柄である。
1.J&J
ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン (NYSE:JNJ)は14日の寄り付き前、第1四半期(1-3月期)決算を報告する。同社のベビーパウダーに関する訴訟が増加していることを受け、業績の悪化が懸念されている。
しかし、新型ウイルスが流行する中、安定的な配当を支払い、上昇基調にある同株の見通しは明るいだろう。
同株は年初来で約3%安となっている。予想EPSが2.05ドル、予想売上高は198.6億ドルとなっている。
同社は訴訟問題を着実に解決し、安定的なインカムゲインを望む投資家にとってはお勧めの銘柄である。実際、同社は過去55年連続で増配してきた。現在、1株当たり四半期配当額は過去5年間で年率7%の成長を遂げており、0.95ドルとなっている。また、年間配当利回りは2.69%となっている。
2.シティグループ
世界最大級の銀行グループであるシティグループ (NYSE:C)は15日の寄り付き前、第1四半期(1-3月期)決算を行う。同社の決算では、新型ウイルスの経済への影響を窺い知ることができるだろう。
同株は、過去10年間に渡って行われてきたコスト削減とポートフォリオのリバランスによって下支えされてきた。
しかし、同株は現在、年初来で約40%安となっている。予想EPSは1.90ドル、予想売上高は190億ドルである。
市場では同社の利益だけでなく、収益に対して費用の割合を表す経費効率性比率にも注目が集まっている。同社における同指標は過去4年間で60%を下回ってきた。
3.シュルンベルジェ
新型ウイルスによる世界経済の縮小や協調減産を巡る不透明な原油市場を背景に、世界最大のオイルフィールドサービス企業であるシュルンベルジェ (NYSE:SLB)は17日の寄り付き前、第1四半期(1-3月期)決算報告を行う。
同社は世界120か国以上で事業を展開し、石油・ガス業界で包括的な製品とサービスを提供している。しかし、原油価格が暴落する中で主要原油企業は支出を絞っており、同社の業績は低調なものになる可能性が高い。
これらの懸念を受け、同株は年初来で約60%安となっている。予想EPSは0.26ドル、予想売上高は76億ドルとなっている。
同社の決算では、原油価格暴落による影響や今後の配当政策について何らかの手掛かりが得られるだろう。現在の配当利回りは11.57%となっている。