OPECプラスは13日、史上最大規模の協調減産で合意に達した。これを受け、エネルギー企業の業績が持ち直すことが期待されている。
新型コロナウイルスの拡大による原油需要の逼迫を背景に、OPECプラスは3月の協調減産の議論で決裂した。これにより、米エネルギー企業は業績不振に陥っていた。
9日のWTI原油は年初来で約63%安となり、1バレル当たり22.76ドルで取引を終えた。
減産合意によって、エクソン・モービル (NYSE:XOM)やシェブロン (NYSE:CVX)、ロイヤル・ダッチ・シェル (NYSE:RDSa)などの大手石油企業が配当を維持できるかどうかに、注目が集まっている。
クリーンエネルギーへのシフトに伴って石油企業への魅力が薄まる中、大手石油企業は減配を長年避けてきた。石油メジャーの上位5社は、数10億ドルの株主還元を実施する一方、設備投資を続けるための250億ドルを負債で調達している。
CNBC.comによると、シェブロン、トタル (NYSE:TOT)やBP(NYSE:BP)、エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェルの負債総額は2019年には2310億ドルに達し、原油価格が30ドルを下回った2016年の2350億ドルをわずかに下回った。
石油企業の配当利回りは、最近の株価下落を受けて急騰している。年初来で39%安となっているエクソンモービルと29%安となっているシェブロンの配当利回りは各々、8%と6%となっている。
希望の光
OPECプラスの協調減産により、石油企業の業績は回復するかもしれない。
一部のアナリストは、短期的には減産によって供給過剰が解決されることはないが、年末までに原油価格が40ドル半ばまで回復すると見ている。
シティのEd Morse氏は「3月中旬から5月下旬の間で10億バレルを超える大規模な在庫の積み増しを防ぎ、スポット価格が一桁台に下落するのを止めるには遅すぎる」と述べた。
そうは言っても、大手石油企業は2008年のリーマンショックを含む数々の不況を乗り越えてきた。
ゴールドマン・サックスのアナリストは「過去の不況において、大手石油企業はマクロ的に厳しい状況に対応するための減配を行わなかった」と述べた。
エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は5日、同社は「信頼性の高い成長配当を約束している」と述べた。同社は過去37年間、毎年増配を続けてきた。
シェブロンのマイク・ワース最高経営責任者(CEO)も最近、2020年に33回目の増配を予定していることを改めて表明した。エクソンとシェブロンの両銘柄は、1カ月間で10%以上値を上げている。
総括
需給に大きなギャップがある中、今後数週間の原油市場の動向は誰にも分からない。しかし、協調減産の合意は米大手石油企業にとって希望の光である。