21日のダウ先物は500ポイント下落、米ドルは一時上昇したもののその後反落となった。米ドルは安全資産である日本円に対してほぼ横ばいとなった。また、米10年国債利回りは急落した。
金融市場に混乱をもたらした原油価格の暴落は、何が引き金となったのか分からない。OPECの緊急会合やドナルド・トランプ米大統領の石油備蓄を増強するとの発言は、原油価格を下支えしなかった。原油価格の暴落を受け、金融市場はリスク回避の動きが強まっている。米ドルの焦点は、中小企業救済融資プログラムの増額などを盛り込んだ4840億ドル規模の包括的救済法案である。上院で可決されたものの、下院では否決される可能性がある。
21日はポンドとNZドルが値を下げて取引された。特に、ポンドは2週間ぶりの安値となった。21日発表の2月や3月の英雇用統計は若干悪化しており、今後さらに悪化する可能性が高い。英失業保険申請件数と失業率は増加しており、平均賃金は前回の3.1%増から2.8%増へ落ち込んだ。イングランド銀行のチーフエコノミストであるAndy Haldane氏は、上半期のGDPは相当軟調な結果になると述べた。22日には英インフレ率の発表が控えている。ポンド/米ドルは3月中旬ぶりに20日移動平均線を下回って取引されており、さらに下落する可能性がある。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)のエイドリアン・オア総裁の発言を受け、NZドルは値を下げた。同総裁は新型コロナウイルス流行の影響に対処するためには、マイナス金利よりも量的金融緩和の方が良いと述べたが、マイナス金利の可能性は否定しなかった。RBNZは5月に向けた、新たな金融緩和策を考えていくと語った。
豪ドルは約1%安となったものの、オーストリア準備銀行(RBA)は新型ウイルスに対して悲観的な見方を示していない。RBAは6月には失業率が10%前後まで上昇すると予想している。
原油安を受け、米ドル/カナダドルは2週間ぶり高値へ上昇した。2月カナダ小売売上高は前月比0.3%増となり、予想を下回った。
他方、ユーロは値を上げて取引されている。独ZEW景況感指数は28.2と、前月の-49.5から大幅に改善した。同指数はドイツにおける移動制限の解除など受け、下半期には景気が回復するとの期待が反映された。アンゲラ・メルケル独首相は早急の規制緩和へ警鐘を鳴らしていたものの、今週から小規模な店舗は営業を再開し、学校も再び開校する見込みである。さらに、イタリアにおいても、5月4日からロックダウンを緩和していくとのこと。