米ドルとユーロは今週、重要な局面を迎えるだろう。FRBとECBによる金融政策決定会合と第1四半期GDPの発表が控えている。第1四半期GDPは最も注目される経済指標であり、外国為替市場に大きな影響を与える可能性がある。米国とユーロ圏の経済が1~3月で縮小したことは明らかであるが、重要なのはどの程度縮小したかである。一部の欧州諸国は米国よりも約3週間早くロックダウンに踏み切ったので、ユーロ圏のGDPは米国以上に縮小していると見られる。
今週の米ドルとユーロは、各中央銀行がどのような金融政策を打ち出すのか、そして第2四半期や2020年の経済がどれほど縮小する見通しなのかにかかっている。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、ユーロ圏のGDPが最大で15%縮小する可能性があると指摘した。他方、FRBのジェローム・パウエル総裁はGDPの見通しについて口を閉ざしている。パウエル総裁は今月初旬、新型コロナウイルス終息後は堅調に景気が回復すると述べたが、ソーシャルディスタンスは夏終わりまで継続される可能性が高い。各中央銀行にとって債券買い入れの拡大は1つの手であるが、これ以上拡大する可能性は低いだろう。我々は米ドルとユーロに対して弱気な見通しを抱いている。
日本銀行は27日、長期国債の買い入れについて上限を撤廃し、社債とCPの買い入れ額も従来の3倍近くまで増やすことを表明した。また、日銀はGDP見通しや物価上昇率を下方修正した。しかし、これらはほとんど日本円へ影響を与えていない。今年度のGDPがマイナス5%になるとの見通しは、IMFの見通しよりも楽観的である。
ロックダウンが今後数週間で緩和されるとの期待感から、17日の為替と株価は値を上げた。しかし、GDPの発表や金融政策決定会合を控えている米ドルとユーロは、以前としてリスクを抱えている。28日23時には米消費者信頼感指数の発表が控えており、市場心理はさらに悪化する可能性がある。また、アップル (NASDAQ:AAPL)、アマゾン・ドット・コム (NASDAQ:AMZN)、アルファベット (NASDAQ:GOOGL)、フェイスブック (NASDAQ:FB)、マイクロソフト (NASDAQ:MSFT)、エクソン・モービル (NYSE:XOM)、ロイヤル・ダッチ・シェル (NYSE:RDSa)、ペプシ (NASDAQ:PEP)、スターバックス (NASDAQ:SBUX)、ゼネラル・エレクトリック (NYSE:GE)、スリーエム・カンパニー (NYSE:MMM)などの大企業が決算報告の予定である。
今週はユーロと米ドルがアンダーパフォーム、豪ドルとNZドルがアウトパフォームする可能性が高い。オーストラリアとニュージーランドではロックダウンがいち早く解除され、経済活動が再開する見込みである。カナダドルは原油安を受け、下押し圧力を受けている。