8日は4月米非農業部門雇用者数の発表が控えており、過去最悪の結果が予想されている。予想では2100万人減となり、失業率は16%まで上昇すると見られている。失業率が2桁台へ乗るのは、1983年ぶりである。歴史的な失業者数は、どれほど為替相場へ影響を与えるのだろうか。
直近数週間で米ドル/日本円は継続的に値を下げており、為替市場が雇用統計に対して弱気な見通しを抱いていることが窺える。しかし、雇用統計の発表を前に、株価と米米10年国債利回りは値を上げて取引されている。株式市場は雇用統計を見過ごしている可能性が高く、最悪な雇用統計が発表された際、株価は値を下げる可能性が高い。為替相場では、日本円とスイスフランが上昇し、米ドル/円がさらに下落する可能性がある。
他方、米平均時給は前月比0.4%増、前年比3.3%増となると予想されている。従業員の雇用を維持する一方で給与を削減している企業が多数報告されており、この予想は理解しがたい。雇用統計だけでなく、平均時給もマイナスに転じる場合、株式や通貨は大幅に下落する可能性がある。
どのような場合に、株式市場と米ドル/円は上昇するのだろうか。雇用統計が予想通りの結果であれば、値を上げる可能性がある。予想を大きく下回った場合は大幅に下落し、その後底を打って反発する可能性がある。為替相場や株式市場で取引する場合、雇用統計が発表され、価格が安定するまで様子見するべきであろう。
以下では、雇用統計の結果を示唆する経済指標を紹介する。
好調な雇用統計を示唆する経済指標
なし
軟調な雇用統計を示唆する経済指標
1.ISM非製造業景況感指数の雇用は過去最低まで急減
2.ISM製造業景況感指数の雇用は71年ぶりの水準まで急減
3.ADP雇用統計は2030万人の失業を示す
4.チャレンジャー人員削減数は1576%増
5.過去4週間の平均失業保険新規申請件数は410万件
6.失業保険継続申請件数は1800万件から2260万件へ
7.ミシガン大学消費者信頼感指数は過去最低へ
8.消費者信頼感指数は2014年ぶりの最低の水準へ
8日はカナダ雇用統計も発表され、過去最高の雇用減少が予想されている。3月には100万人の雇用が失われた一方、4月には400万人を超えることが見込まれる。また、カナダのIVEY PMIは過去最低の22.8に急落し、その中の雇用も同様に過去最低を記録した。原油価格は反発し、カナダドルの下落に歯止めをかけた。
イングランド銀行の金融政策発表を受け、ポンドは値を下げた。会合では政策金利の据え置きが決定され、2人のメンバーが債券購入の即時拡大に賛成票を投じた。これを受け、アンドリュー・ベイリー総裁は6月に量的緩和を行う可能性を示唆した。イングランド銀行の見通しでは、インフレ率が1%を下回り、消費が14%減、GDPも14%縮小と見込んでいる。英金融政策委員のメンバーは、さらなる緩和の準備ができていると述べた。また、「マイナス金利は導入しない」としながらも、さらなる量的緩和はほぼ確実である。
豪ドルとNZドルは豪貿易収支と中国貿易収支を受けて大幅に上昇した。4月中国輸出は8.3%増となり、貿易黒字は453.4億ドルへ増加した。また、4月財新中国PMIも改善された。豪非製造業PMIは軟調な結果となったが、3月豪輸出が15%増となったため、貿易黒字は2倍以上拡大した。