3月に新型コロナウイルスによって株価が大きく値を下げ後、強く反発できた銘柄はそれほど多くはない。植物由来の人口肉大手のビヨンド・ミート (NASDAQ:BYND)も、その内の1社である。
同株は3月の安値から162%高となっており、新型ウイルスの影響を受ける前の水準まで回復している。
現在の株高の背景には、同社が急速にシェアを拡大していることが挙げられる。
5日の同社第1四半期決算は予想を上回っており、6日に26%高となった。新型ウイルスの影響で全米のレストランが閉店しているにも関わらず、業績は堅調であることが明らかとなった。
同社の第1四半期売上高は、予想の8820万ドルに対して9700万ドルとなった。しかし、前年同期比141%増の成長ペースは、過去2年間で最も遅いペースであった。
また、純損失が前年の660万ドルに対して180万ドルとなった。さらに、EBITDAは前年のマイナス210万ドルに対して1270万ドルとなった。
同社CEOのイーサン・ブラウンは「新型ウイルスの影響でますます厳しい事業環境となっている。しかし、第1四半期決算が予想を上回ったことを誇りに思う」と述べた。
急落していた株価
現在の力強い反発にも関わらず、同株は5月に1株25ドルでIPOして以来、値を下げていた。
7月に過去最高の239.7ドルまで急騰した後、人口肉市場の競争環境が激化した事を受け、2019年末には80ドル以下まで下落した。
実際、同社の成功を見て、一部の大手企業は人工肉市場に急速に参入し始めた。食品大手のネスレ (OTC:NSRGY)は9月、米国で植物由来のオーサムバーガーを発売した。また、スーパーマーケットチェーンのクローガー (NYSE:KR)は、植物由来のパティを発売した。
しかし、経済が不況に陥っている中、消費者が高価なビヨンド・ミートの製品を購入し続けるかは明らかではない。
他方、一部の投資家は、競合他社がビヨンド・ミートを打ち破るのは難しいと見ている。
ニュートンアドバイザーズ社のMark Newton氏は「私は人工肉市場においてビヨンド・ミートをどの企業よりも気に入っている」とCNBCのインタビューで語った。
同社は備蓄による売上増の恩恵を受けている。また、その他の好材料としては、新製品の発売や国際的な販路拡大、カナダと中国におけるスターバックス (NASDAQ:SBUX)との提携などが挙げられる。
総括
ビヨンド・ミートは過去6週間で値を上げているものの、同社の株価は以前として不安定であり、慎重な投資家には不向きな銘柄である。ゴールドマン・サックスによると、同社は今後10年間でスーパーマーケットの食肉関連売上高の13%を占めるようになる可能性があるという。