11月の最終週は金融市場全体で変動性 の大きい展開となった。しかし、通年でみるとダウ平均株価、S&P 500種指数、NASDAQ 100指数はそれぞれ12.9%、 22.0%、25.8%上昇している。.
しかし、セクター別にみると、すべてのセクターが今年プラス・リターンを創出できているわけではない。こちらで概観したセクターや多くのETFは11月に低下し、通年リターンもマイナスに落ち込んでいる。しかし、今年が終わるまでにはまだ1ヶ月残っている。この分析記事では12月に堅調に推移すると期待できるETF銘柄を2つ紹介する。
1. SPDR S&P Pharmaceuticals ETF
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現在価格:45.38ドル
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52週レンジ:45.26ドル~56.32ドル
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配当利回り:0.65%
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運用報酬:年率0.35%
米国は世界の医薬品が集まる最大の市場だ。最近の調査によると、米国は2020年に医薬品に5140億ドルを消費している。これは世界全体の売上の約半分を占める規模だ。
コロナ禍の発生によって、バイオ医薬品には脚光が集まった。多くの製薬企業がワクチンの開発や治療薬の開発を急いだからだ。
この結果として、過去52週間でDow Jones Pharmaceuticals Indexは15%上昇している。11月の下落幅は2%で、その大部分は先週にみられたものだ。
投資家はオミクロン株に有効なワクチンを開発するのはPfizer (NYSE:PFE)なのか、 BioNTech (NASDAQ:BNTX)なのか、はたまたModerna (NASDAQ:MRNA)、Johnson & Johnson (NYSE:JNJ)、もしくはAstraZeneca (NASDAQ:AZN) なのかと活発に議論している。
SPDR® S&P Pharmaceuticals ETF (NYSE:XPH)は米国の製薬企業に投資をするETFで2006年6月に設定された。
当ETFは47銘柄で構成されており、S&P Pharmaceuticals Select Industry Indexに連動した値動きをするよう期待されている。上位10銘柄が当ETFの55%を構成しており、純資産は215.4百万ドルに上る。アナリストによると、大手企業は競合する中小企業よりも競争優位性を有する、としている。
組入上位には製薬大手のPfizer、Eli Lilly (NYSE:LLY)、Merck (NYSE:MRK) 、Johnson & Johnson、Royalty Pharma (NASDAQ:RPRX),などが挙げられる。その他、動物向け医薬品を手掛けるZoetis (NYSE:ZTS)も構成銘柄の一つだ。
年初来、当ETFは11.9%低下しており、株価収益率(P/E)および株価純資産倍率(P/B)はそれぞれ8.34倍、3.00倍だ。足元の水準は購入を検討するに値するものかもしれない。
2. US Global Jets ETF
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現在価格:19.38ドル
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52週レンジ:19.78ドル~28.98ドル
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運用報酬:年率0.60%
2020年のコロナ禍最初期に航空関連株では大幅な下落がみられた。それ以降、航空旅客が復調したことを背景に、著しく回復していた。
しかしオミクロン株の出現によって、国際線には再び先行き不透明感が高まっている。先週、Dow Jones US Airlines Indexは5%下落し、2021年通年でみても2%低下している状況だ。
多くの企業経営陣は「オミクロン株は出張にどのような影響を与えるだろうか」と頭を悩ませている。2020年に国際線の市場規模は1700億ドルだったが、2021年から2026年の年平均成長率は4%を超えるだろうとアナリストは予想している。
そのような中でおすすめしたいのは、US Global Jets (NYSE:JETS)だ。当ETFは世界の航空業界に投資を行い、その対象は航空会社や製造企業が含まれる。ETFは2015年4月からのトラック・レコードを有する。
当ETFは50銘柄で構成され、US Global Jets Indexに連動した値動きをするよう設計されている。構成上位銘柄は当ETF全体の40%を構成し、Southwest Airlines (NYSE:LUV)、American Airlines (NASDAQ:AAL)、United Airlines Holdings (NASDAQ:UAL)、Delta Air Lines (NYSE:DAL)などが主な構成銘柄として挙げられる。
また、JetBlue Airways (NASDAQ:JBLU)、Allegiant Travel (NASDAQ:ALGT)、Air Canada (TSX:AC)、SkyWest (NASDAQ:SKYW)、Alaska Air (NYSE:ALK)、Hawaiian Holdings (NASDAQ:HA)も当ETFに組み入れられている。
当ETFは2021年年初来で9.3%低下し、過去12ヶ月では7.9%の下落を記録した。株価収益率(P/E)および株価純資産倍率(P/B)はそれぞれ12.48倍、3.62倍となっている。長期投資家にとっては特に価格が20ドルを下回れば押し目買いの好機かもしれない。