オプションを活用した上場投資信託（ETF）が投資家の間で人気を集めている。このようなファンドは通常、インカム・ゲインやダウンサイド・プロテクション（ヘッジ）を目的として設計されている。言い換えれば、ほとんどのETF投資においてはキャピタル・ゲインとダウンサイド・プロテクションがトレードオフの関係にある。
分析記事ではこれまでもカバー・オプション戦略について取り上げてきた。もう一度読み直したい方は過去に出したいくつかの 記事を参照してほしい。また、オプションを利用した {{art-200591248||ファンド}についても過去に取り上げてきた。
この記事では、カバード・コール戦略を採用している2つのETFを紹介する。復習すると、カバード・コール戦略では、投資家はすでにポートフォリオに入っている資産のコール・オプションを売る。投資家は株式のロング・ポジションを持っているので、コール・オプションの買い手が権利を行使した場合には、株式を引き渡すことができる。
投資家がある資産を買い（ロング）、同時にそのポジションのコール・オプションを売る（ショート）場合、カバード・コール戦略は「バイ‐ライト」取引とも呼ばれる。
このような戦略を持つETFは、市場のボラティリティが高まる中で、利回りを追求する投資家にとって魅力的かもしれない。また、カバード・コールのETFは、市場が下落圧力を受けたときにはある程度のダウンサイド・プロテクションにもなる。ただし、このようなオプション取引に紐付いたETFは、パッシブ運用のロングETFよりも一般的に運用報酬が割高であるという点には注意が必要である。
Global X S&P 500 Covered Call ETF
現在の価格：50.36ドル
52週間のレンジ：45.25ドル～50.90ドル
配当利回り：9.02%
運用報酬：年率0.60%
Global X S&P 500® Covered Call ETF (NYSE:XYLD)は、S&P 500種指数の銘柄を購入すると同時に、同指数のカバード・コールを売る。発生したオプション・プレミアムの一部を毎月分配金として支払う。インカム・ゲインを追求する投資家にとっては魅力的な戦略だ。
当ETFはCBOE S&P 500 BuyWriteに連動した値動きをするように設計されている。2013年6月に取引を開始し、運用資産残高は8億3340万ドルに上る。
年初来リターンは7.9%以上で、足元の配当利回りは9%以上だ。これに対し、S&P500種指数は、年初来で22.5%の上昇している。
当ETFは、証券自体からの潜在的な値上がり益の追求ではなく、毎月の高位なインカム・ゲインを好む投資家には適切な選択かもしれない。
2. Nuveen NASDAQ 100 Dynamic Overwrite Closed End Fund
現在の価格：29.15ドル
52週間のレンジ：25.00ドル～31.00ドル
配当利回り：6.21%
運用報酬：年率0.89%
2つ目のETFはとして、Nuveen NASDAQ 100 Dynamic Overwrite Closed End Fund (NASDAQ:QQQX) だ。当ETFはS&P 500種指数ではなく、NASDAQ 100構成銘柄の想定元本の35%～75%のカバード・コールを売っている。
ファンド・マネージャーは通常、プレミアムが高くなる、市場のボラティリティが高位な局面でより多くのコールを売る。これによりリターンのボラティリティとダウンサイド・リスクの両方を低減することができる。しかし、この方法はキャピタル・ゲインの可能性を低下させるものでもある。
当ETFは、2007年1月下旬に取引を開始し、運用資産残高は12億ドルに達している。年初来リターンは約11%だ。一方NASDAQ 100指数は前年同期比で約21.5%の上昇となっている。
当ETFは、インカム・ゲインの獲得、短期的な価格下落時のヘッジ、そして潜在的な値上がりの可能性の3つをバランス良く投資家に提供しているといえる。したがって、NASDAQ 100のグロース株に強気でありつつ、高利回りを求めるインカム追求型の投資家にとっては良い選択となるだろう。
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