執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com – 米連邦準備制度理事会(FRB)は水曜日、高騰するインフレを抑制するために「近いうちに」利上げを開始する可能性があると発言し、3月の利上げに向けて足固めをしたようだ。
FRBは金利を0%から0.25%の範囲内で据え置いたが、3月に予定されている資産購入プログラムを終了後、すぐに金利の引き上げが始まる可能性があることを示唆した。
「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場も堅調なことから、FOMC委員会は政策金利の目標レンジを引き上げることが間もなく適切になると予想している」とFRBは声明で述べた。
FRBは12月に、3月初旬までに資産購入プログラムを終了することを視野に入れ、毎月の債券購入額を300億ドルに縮小ペースを倍速させると発表していた。
声明内容はほぼ市場予想通りの内容だったが、その後の記者会見でパウエル議長はタカ派的な金融政策スタンス採用に言及した。
パウエル議長は「労働市場を悪化させずに利上げができる余地はかなりある」と述べ、リスク資産に下落圧力をかけてきたFRBの金融引き締め策が予想以上に強硬になるのではないかとの懸念を誘った。
Investing.comのFRB政策金利モニター・ツール)によると、3月の利上げ確率は約93%に上昇した。
同議長はこれまで、テーパリング終了後の利上げ時期に関しては急ぐ態度を示さなかったため、今回のFRBからのシグナルはタカ派的な政策転換を示すものである。
インフレ率の高止まりにより、FRB は金融政策スタンスの見直しを迫られ、物価上昇圧力は「一過性」であるという表現を撤回することになった。FRBは「需要と供給のアンバランス」をインフレ率上昇の主要因として指摘している。
失業率が4%を下回ってコロナ禍前の水準にまで戻るなど労働市場が改善したことで、FRBがインフレ対応を強化させるもう一つのきっかけになっている。
市場では3月の利上げの可能性に続き、今年中にさらに3回の利上げが行われ、夏にはFRBのバランス・シート縮小が始まると予想されている。
「FRBは3月の会合で今年4回のうち最初の0.25%の利上げを行い、その後7月にバランス・シートをより積極的に縮小することを発表するとみている」とモルガン・スタンレーは分析する。
パウエル議長は、FRBのバランス・シート引き締め計画の詳細には触れなかったが、利上げは金融政策の積極的な手段になると強調した。
同議長は記者会見で、「政策金利は金融政策を調整するFRBの主要な手段であり、バランス・シートの縮小は金利引き上げのプロセスの後に行われる」と述べた。バランス・シートの縮小計画は「予測可能な方法で時間をかけて行い、主に再投資額の調整を通じて、有価証券がバランス・シートから減少するようになる」と付け加えた。
市場関係者の中には、バランス・シートの縮小と金利上昇を同時に実現することは、市場にとって受け入れがたい薬になるのではないかという懸念を抱いている人もいる。
「個人的には、FRBが一度利上げを行い、その後バランス・シートの縮小をみたい...両方を同時に行うのは、市場にとってかなり難しい局面となるだろう」と、Aptus Capital Advisors社のポートフォリオ・マネージャー、John Luke Tyner氏は火曜日のInvesting.comとのインタビューで語っている。