OPEC+は来週2月2日(水)に会合を開き、市場動向を踏まえて3月の生産方針を決定する予定だ。現時点では、2021年夏以降と同様に、生産量を日量40万バレル増やすとみられる。
しかし市場に影響を与える可能性のある、いくつかの新しい問題がある。この記事では、OPEC+が検討すべき最も重要な3つの問題を取り上げる:
1. 原油価格
足元、原油価格は高値水準にある。
水曜日に、ブレント原油は7年ぶりに1バレルあたり90ドルの大台に乗せた。またWTIの価格は、水曜日の正午時点で1バレルあたり88ドル近くまで上昇している。もちろん、OPEC+諸国は価格上昇を評価しており、この水準が世界経済の減速の一因となる兆候はまだない。
しかしサウジアラビアのような一部のOPEC+加盟国は、歴史的に原油価格の高騰が経済減速や原油販売の妨げになるような状況を避けようと、OPECの舵取りをしようとしてきた。
現在の価格上昇の原因がファンダメンタルズ(実需)にあるのか、投機的取引にあるのかを精査することになるだろう。もし需給関係ではなく、投機筋が価格を押し上げていると考えるなら(その可能性が高い)、彼らは生産量を変更するよりも、現在の水準を維持するとみられる。
2. ロシア・ウクライナ間の緊張
ロシア・ウクライナ問題は引き続き燻っており、投資家の悩みのタネになっている。ロシアがウクライナに侵攻するような場合になれば、石油市場が混乱し、供給が途絶えるというのが投資家の見方であるようだ。
2国間の緊張が足元の原油価格の上昇の大きな理由となっている。しかし侵略の可能性がどの程度あるのか、本当に市場が大きく混乱するのかについては不透明感が拭えない。仮に侵略され、その結果としてロシアのエネルギー産業や銀行が制裁を受けたとしても、中国の需要者がロシアの石油を購入するというシナリオも十分にあり得る話である。
また、ドイツはすでに将来の制裁の免除を求めているため、ロシアのエネルギー企業から引き続き購入すると考えられる。供給の流れは変わるかもしれないが、OPEC+が欧州情勢を理由に何らかの政策変更を行うことは、現時点では考えにくい。
3. 生産が遅れるOPEC+の原油生産
OPEC+加盟国は、実際には現行の割当量である日産4,089万バレルまで生産できていない。このため、OPEC+は今後も生産枠の拡大を続けるべきか、少なくとも加盟国が生産量に追いつくまで待つべきかという問題が生じている。
OPEC+は生産枠の引き上げを継続するものの、実際に増産を行うのは、その増産に対応できる加盟国のみであるという予想もあるようだ。現実的には3月にOPEC+が日産40万バレルの増産をすることはできないだろう。ただし毎月の生産枠引き上げを撤回すれば、原油価格には望ましくない上昇圧力が働く。
OPEC+会合は2月2日にビデオ会議で行われ、加盟国はその日のうちにコンセンサスに達する見込みだ。なおSaudi Aramco (SE:2222)はOPEC+会合後に3月の公式販売価格(OSP)を発表するとみられている。同社はアジア向け価格を引き上げる可能性が高く、他の多くの中東産油国も同社の価格設定に追随することになりそうだ。