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企業価値の3分の1以上を失ったMetaの魅力を見出す投資家
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現在のMetaのバリエーションは、バリュー株の水準
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株価の反発は短命に終わる
今年に入ってから大規模な売りが続いていたFacebookの親会社であるMeta Platforms (NASDAQ:FB)の株価が、活気をみせ始めている。株価は過去30日間で12%以上上昇し、Apple (NASDAQ:AAPL)、Amazon (NASDAQ:AMZN)、Netflix (NASDAQ:NFLX)などのFAANGグループのハイテク大手をアウトパフォームしている。
水曜日は223.30ドルで取引を終えた。
昨年9月にピークをつけて以降、Metaは時価総額の約5000億ドルを消失させたが、足元は反発がみられている。2月に発表された企業決算で、同社が2021年第4四半期にユーザー・ベースの成長が止まったと報告したことが暴落の主なきっかけとなった。
しかしこの急落により、利益に対する価格を考慮した場合、同社のバリエーションは多くのバリュー株より割安になっている。カリフォルニア州メンロパークを拠点とする同社の株式は現在、推定利益の18倍で取引されている。これに対しNASDAQ 100 Indexの平均バリエーションは、利益の約26倍だ。このようなバリエーションはMetaの上場企業としての期間中に一度も起こったことのないことだ。
買いシグナルか
多くのアナリストにとって、現在の状況は、Metaの株式を購入し、将来的に上昇益を得るシグナルである。世界最大のソーシャル・メディア・プラットフォームであるフェイスブックを有するだけでなく、インスタグラムやワッツアップなどの親会社でもある同社は、長年にわたって巨額の利益を生み出し、世界で最も利用者の多いソーシャル・メディア・サイトを運営することで今後も優位な地位にいつづけるだろう。
UBSのアナリスト、Lloyd Walmsley氏は今週の分析メモで、インスタグラム・リールのユーザー・エンゲージメントが改善したことを理由に、目標株価を280ドルから300ドルに引き上げた。新しい目標株価は、水曜日に取引された場所よりも約34%高い水準だ。
「我々は、インスタグラムのニュース・フィードの変更とリールのコンテンツ/アルゴリズムの改善によって、2022年の後半と2023年に収益化すると予想されるより良いエンゲージメントを促進することができると信じている。時期は不明だが、リールの収益化が進み、競争優位性を取り戻し、ターゲティング/計測が改善されれば、3年平均でS&P 500に対して約9%のプレミアムを獲得するようなマルチプルに回帰すると考えている。」と述べている。
同氏の前向きな見通しは、Investing.comのアナリスト調査にも表れている。ほとんどのアナリストは、Metaを「買い」と評価し、目標株価は44%上昇する可能性があるとコンセンサスは示唆している。
出所:Investing.com
同様にInvestingProによる、PERやPSR、ターミナル・バリューに基づいて企業を評価するようないくつかの金融モデルによると、平均適正株価は366.45ドルで、現在の株価から60%以上の上昇の可能性がある。
出所:InvestingPro
このような強気の予測にもかかわらず、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏と経営チームは、会社を再び成長軌道に乗せるためには困難な状況が続くと投資家に注意を促している。
現在、同社が直面している最も大きな逆風は、競争の激化、厳しい規制環境、景気の低迷を迎えそうなときに多額の支出を控える広告主など、同社の中核事業における課題の深刻化から生じている。
加えて、ザッカーバーグ氏のメタバースへの事業シフトの具体的なビジョンもみえてこない。この大事業が報われるのに、どれだけの時間がかかるかも不明だ。同社のメタバースへの野望を形にしているリアリティ・ラボは、2021年に102億ドルの損失を出した。こうした課題によって、株価は短期的には低迷を続ける可能性がある。
それでも、ザッカーバーグ氏は期待を上回る業績を上げ、投資家に堅実なリターンをもたらした素晴らしい実績がある。同社の新しい方向性を信じるバイ・アンド・ホールド投資家にとっては、長期的には報われる可能性があるとみている。