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今週の見通し:インフレとバリュエーションをめぐり強気筋と弱気筋が混在、ボラティリティの高い展開を予想

発行済 2022-05-08 20:53
更新済 2020-09-02 15:05
  • 株式市場の低迷によりバリュエーションは魅力的な水準

  • インフレはピークに達したか?

  • 米国10年債利回りは今後のインフレの指標に

インフレ率と金利の上昇に投資家の関心が集まる中、最近の金融市場には強気筋と弱気筋が混在し、場合によってはボラティリティが高まる可能性がある。さらに地政学的リスクも加わって、市場の不安定性は最高潮に達するかもしれない。

とはいえ、S&P500ダウ工業株30種平均ナスダックラッセル2000の米国主要株価4指数すべてが先週下落となり、これまで高騰していた多くの銘柄のバリュエーションが、買い場と考えられる水準にまで値下がりしているようにみえる。

しかし、市場の主要な変動要因は、FRBが今後の利上げにどの程度のタカ派的姿勢を示すか、そしてインフレがピークに達したかどうかであり、この点は今週のCPIPPIの発表で明らかになる可能性がある。

生産者物価指数は卸売物価(最終的に消費者物価に転嫁される)を測定する。エコノミストは、3月の11.2%のあと、4月は10.7%になると予想している。

一部のエコノミストはすでにインフレはピークに達したと考えており、4月の消費者物価指数(前年同月比)は3月の8.5%を若干下回ると予想している。投資家は米国債利回りに注目して、インフレ率に関する市場の解釈を見極めることができるだろう。

しかし、FRBは過去40年間で最悪の水準にまで高止まりしているインフレ率を実際に低下させることができるのだろうかという疑問は残る。先週、FRBは政策金利の目標値を50bps引き上げ、今後も同程度の利上げを継続する可能性があると発表した。FRBのパウエル議長は会合後、市場に安心感を与えるため、「ソフトあるいはソフトに近い」経済の軟着陸を期待すると付け加えた。

金利の指標となる米国10年債利回りは、金曜日に3.142%で引け、2018年11月以来の高水準に達した。さらに1%上昇すれば、10年債利回りは2011年以来の高さとなる。債券が売られると利回りは上昇する。一般に、投資家はリスク選好が高まると、株式に資金を投じるために債券は売られる。

しかし、今回は少し事情が異なる。リスク・センチメントが大きく低下しているため、投資家は将来の期待利回りに対して、クーポン収入が低位な債券を売っているのだ。利回りは5週連続、過去9週のうち8週で上昇している。

米国10年債利回り 週次チャート

UST 10Y Weekly

出所:TradingView

先週の週足では、ハンギング・マンが吹き飛んだ。50週移動平均(50WMA)が200WMAを上回ろうとしており、2017年8月以来の週足ゴールデン・クロスが誘発された。その後、長期金利は1%以上上昇した。逆にピーク・アウトすれば、FRBの少しは安心感を得られるかもしれない。

しかし、金利が上昇を続け、新たに数年来の水準に達した場合、FRBは投資家の神経を落ち着かせるためにさらなる金融引き締めを行わなくてはならないだろう。FRBが金利上昇を抑え、物価を安定させることができれば、雇用の最大化にもつながるだろう。しかし、長期金利の上昇を緩やかにするためには、繊細な「曲芸」 が必要となる。

投資家はすでに、S&P500を6週連続で売り越し、不快感を強めているだろう。投資株価指標は、先週金曜日に昨年5月以来の安値で取引を終えた。

ナスダック100は5週続落して2021年3月以来の安値となり、ラッセルは2020年12月以来の低水準まで下落した。

米ドルは金利と共に上昇し、2002年以来の高水準で推移している。

米ドル指数 日次チャート

Dollar Daily

出所:TradingView

米ドルは、弱気のフラグを完成させるのに苦戦しており、6日連続の上昇の後、強気に転じている。

金価格は金曜日に高く押し上げられたが、テクニカルな観点からは依然として下落圧力が強い。

金先物 日次チャート

Gold Daily

出所:TradingView

金はトライアングルの底をブレイク・アウトした。木曜日の上昇の試みは失敗し、反転が確認された。

日曜日で、ビットコインは4日続落となり、弱気のブレイク・アウトを拡大させた。

ビットコイン 日次チャート

BTC/USD Daily

出所:TradingView

ビットコインは、弱気フラグを完成させた後、上昇サポート・チャネルを下降した。下降ブレイク・アウトによって、先行する大きなH&S(ヘッド・アンド・ショルダー)のトップの形成を確認することになるだろう。

EUによるロシア産原油への制裁の実行日が近づいていることから、供給不安が高まっているため、原油は週明け5.6%上昇した。

原油WTI先物 日次チャート

Oil Daily

この動きはトライアングルを完成させ、今後も上昇基調が継続することを示唆するものとなるかもしれない。

今週の予定

時間はすべて米国東部時間で記載

月曜日

8:45: 米国 – FOMC メンバーのBostic総裁の声明

21:30: 豪州 – 小売売上高: 前四半期対比は前回の8.2%から1.0%までの低下を予想

火曜日

5:00: ドイツ – ZEW景況感調査: -41.0から-42.5までの低下を予想

12:00: 米国 – 米国エネルギー情報局による短期エネルギー見通し

水曜日

4:00: ユーロ圏 – ECBのラガルド総裁の声明

8:30: 米国 – コアCPI: 前月比は前回の0.3%から0.4%への上昇を予想

10:30: 米国 – 原油在庫: 1.302Mから-0.829Mへの低下を予想

木曜日

2:00: 英国 – GDP: 前四半期対比は前回の1.3%から1.0%への低下を予想、前年比は前回の6.6%から9.0%への上昇を予想

2:00: 英国 – 製造業生産: -0.4%から-0.5%への低下を予想

8:30: 米国 – 新規失業保険申請件数: 200千件から194千件への低下を予想

8:30: 米国 – 卸売物価指数(PPI): 1.4%から0.5%への低下を予想

金曜日

8:30: 米国 – 輸出物価指数: 前回の4.5%から4月は0.7%への低下を予想

8:30: 米国 – 輸入物価指数: 前回の2.6%から4月は0.6%への低下を予想

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