5月末のメモリアル・デーは、米国の夏の旅行シーズンの始まりである。そして今年、米国旅行協会によると、「アメリカ人10人の内6人が少なくとも1回は夏の旅行を計画している 」という。
コロナウイルスが流行する前の2019年、米国の(GDP(国内総生産))のなかでも旅行・観光産業は1兆ドルをはるかに超える貢献をしていた。
この夏、アメリカ人はより開放的な世界を楽しむために準備を進めているが、投資家は収益と利益を押し上げる旅行・レジャー関連銘柄に注目している。
暖かくなり、仕事や学校が休みとなることで、レジャー・エンターテイメント企業にも注目が集まる。「2020年の急落に続き、今年はパンデミック前のピークを14%上回る支出が予測される。」
しかし、消費者と企業は インフレ率、特にエネルギー価格の高騰に目を光らせている。また、地政学的な緊張が続いていることや、中国でのコロナウイルス感染者の再燃は、旅行業界の回復を妨げる可能性を示唆している。
そのため、旅行・レジャー企業の株価の乱高下は夏場まで続く可能性がある。これまでのところ、2022年のDow Jones Travel & Tourism 指数は26.6%下落している。同様に、 Dow Jones Travel & Leisure指数も20.2%下落している。
そこで、夏の旅行シーズンを前に、読者の皆様に注目していただきたい2つの上場投資信託(ETF)を 紹介しよう。
1. Invesco Dynamic Leisure and Entertainment ETF
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現在価格:40.44ドル
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52週間のレンジ:38.29ドル~54.62ドル
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配当利回り:0.52%
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経費率:年率0.55%
最初のETFである Invesco Dynamic Leisure and Entertainment ETF (NYSE:PEJ)は、レジャー・エンターテイメント企業の株式へのアクセスすることができる。2005年6月に取引を開始した。
Dynamic Leisure & Entertainment Intellide Indexに連動するPEJは、現在31銘柄のバスケットを保有している。組入上位10銘柄で純資産額13億ドルの半分近くを占めている。別の言い方をすれば、集中投資型ETFである。
食品と関連商品を流通させるSysco (NYSE:SYY)、McDonald’s (NYSE:MCD)、Marriott International (NASDAQ:MAR)、オンライン旅行会社のBooking (NASDAQ:BKNG)、 Fox Corp (NASDAQ:FOXA)、 Walt Disney (NYSE:DIS) などが名を連ねている。
ポートフォリオに含まれる企業の約半数は、ホテル、レストラン、レジャーの分野に属している。次いで、エンターテインメント(30.8%)、メディア(13.4%)、食品・日用品小売(4.7%)、インタラクティブ・メディア・サービス(2.8%)と続く。
PEJは1月から約17%、過去12カ月で5%下落している。2021年6月2日に過去最高値を記録したが、現在は過去52週間の安値圏で取引されている。価格と投資タイミングのサイクルをみて潜在的な転換点を分析するトレーダーは、現在の水準に注意を払うとよいだろう。
株価収益率(PER)は33.05倍、株価純資産倍率(PBR)は4.85倍である。40ドル下回って購入することができれば、この水準からの下落余地は限定的であるため、安心感が高まる。米国でレジャー関連の消費が今後数ヶ月間堅調に推移すると予想する読者は、このETFを検討してみてはいかがだろうか。
2. SonicShares Airlines Hotels Cruise Lines ETF
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現在価格:4.16ドル
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52週間のレンジ: 3.80ドル~6.35ドル
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経費率:年率0.75%
最近の指標では、世界の観光市場は2021年の3兆9500億ドルから今年は4兆5500億ドルに、15%以上の複合年間成長率(CAGR)で拡大する可能性が指摘されている。一方、世界旅行観光協議会(WTTC)は、旅行・観光産業が今後10年間に世界で約1億2600万人の新規雇用を創出すると予想している。
次にご紹介するのは、SonicShares™ Airlines, Hotels, Cruise Lines ETF (NYSE:TRYP)である。これは、航空会社、ホテル、クルーズライン業界の企業のグローバル・ポートフォリオへのエクスポージャーを提供している。
TRYPは、Solactive Airlines, Hotels, Cruise Lines Indexに連動する。2021年5月に設定され、純資産額は1,142万ドルであるため、取引履歴があまりない比較的新しい小型のETFである。
中大型株61社で構成され、北米に本社を置く企業の比率が高い(65.8%)。残りは欧州(17.4%)、アジア・太平洋(16.2%)、中南米(0.7%)の企業である。
サブ・セクター別では、ホテル・レストラン・レジャー(39.7%)、航空会社(38.6%)、株式不動産投資(21.7%)となっている。上位10銘柄は、ETFのほぼ半分を占めている。
その中には、VICI Properties (NYSE:VICI)、 Host Hotels & Resorts (NASDAQ:HST)、Marriott International, Delta Air Lines (NYSE:DAL)、 Hilton Worldwide Holdings (NYSE:HLT)、やSouthwest Airlines (NYSE:LUV) などが含まれている。
TRYP は3月8日に52週間ぶりの安値を付け、現在、年初来で10.4%、過去12ヶ月で18.5%の下落となっている。長期投資家は、TRYPにアンテナを張っておくのもよいだろう。