「モンスト脱却」で株価40%高のMIXI、「テンバガー」への期待も再燃中
「注目の割安株」シリーズ。今回は、インターネット広告から出発し、ストリーミングプラットフォームのABEMA、ゲーム、アニメへと事業領域を広げてきたサイバーエージェント(TYO:4751)を取り上げる。
同社株は現在、InvestingProの「日本の割安株」ランキングで7位に入っている。28日終値は1,233.5円で、52週高値の1,787円から約31%下落し、52週安値の1,204円に近い水準にある。
一方、InvestingProのフェアバリューでは適正価格を1,891円と算出しており、上値余地は53.32%で、「割安」と判定されている。アナリストの平均目標株価も1,808.1円で、現在値から46.58%の上昇余地がある。
興味深いのは、株価が低迷する一方で、業績そのものは好調なことだ。
サイバーエージェントが8月7日に発表した2026年9月期第3四半期累計の売上高は前年同期比12.2%増の7093億円、営業利益は38.2%増の674億円。通期営業利益予想も従来の500億~600億円から770億円へ引き上げた。それでも、翌営業日の10日には株価が16.7%下落した。なぜなのか。
好業績でも市場の期待には届かず
理由の一つは、投資家がサイバーエージェントに求める成長のハードルが高くなっていることだ。4~6月期だけを見ると営業利益は149億円と前年同期比23.6%減で、市場予想の170億円強を下回った。通期770億円への上方修正も、市場が見込んでいた840億~850億円程度には届かなかった。好業績であっても、「期待以上」でなければ株価を押し上げにくい状況にある。
言い換えれば、市場の期待を上回る成長が確認されれば、現在の割安な株価が一気に上昇する展開もあり得る。その第一のカギがABEMAだ。
2016年にスタートしたABEMAには長年、番組制作やコンテンツ調達などで巨額の先行投資が続けられてきた。しかし2026年9月期第1四半期には、運営会社のAbemaTVが設立以来初めて四半期営業黒字を達成。さらに2026年9月期上期のメディア&IP事業の営業利益は104億円と前年同期比約2.2倍に拡大している。黒字化が一時的なものではなく、継続的な利益成長につながるかが次の焦点になる。
「ウマ娘」を世界的IPにできるか?
第二のカギは、ゲームやアニメなどIPの海外展開だ。ゲーム事業では、2025年度第4四半期の海外売上高が前年同期比6倍の200億円に拡大。「ウマ娘 プリティーダービー」の英語版は、米国や欧州を含む10カ国以上でSteamセールスランキング1位を記録した。
サイバーエージェントの強みは、一つの作品をゲームだけで終わらせず、アニメ、配信、商品化などへ横展開できる点にある。「ウマ娘」の海外展開をさらに拡大するとともに、それに続く大型IPを生み出せれば、「ゲームのヒット頼み」という弱点が、逆に大きな成長余地へ変わる可能性がある。
生成AIを用いた広告ビジネス
第三は、本業である広告だ。同社は6月、ChatGPTやGeminiなど生成AI時代の検索広告に対応する「AI Search マーケティング事業本部」を新設した。AIが既存のネット広告を揺さぶる一方、その変化を新しい広告市場として取り込めるかも注目点になる。
InvestingProの「Pro Research」も、強気シナリオとしてABEMAの収益化、広告事業の成長、ゲーム・IPの海外展開を挙げる。一方、弱気材料として残るのが、ゲームのヒットへの依存やコンテンツ、AIへの先行投資による利益率の低下だ。
つまり、現在のサイバーエージェントは、業績改善の先に、もう一段の成長を証明できるかが問われている。ABEMAが安定的に利益を生み、海外IPが新たな収益源となり、AI時代にも広告事業が成長を続ける――。この3つが数字として確認されれば、現在の株価と企業価値のギャップが縮まり始めるシナリオが見えてくる。
サイバーエージェントの次回決算発表は11月11日に予定されている。







