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Daily Commentary - 07月04日2013年

発行済 2013-07-04 17:45
更新済 2019-12-18 20:45
概観

中央銀行の発表待ち:

USDもEURも昨日は弱含んだ。ポルトガルでは、2人の大臣が辞任した後、政府はどうにか生き延びようと政治的緊張が走っていることから、EURは下落した。しかし、投資家は、本日の欧州中央銀行(ECB)会議を前にして、EURのショートポジションを大量に保持することを望まないため、EURは対USDで上昇した。ADP雇用統計とISMにおける雇用項目がいずれも予想より好調であった(ただし、ISM指数自体は、予想よりも悪かった)ことに鑑みれば、USDの動きを説明することは困難になった。米国時間の早い段階でこの動きの大半が生じており、通貨はその後かなり安定的に推移している点を見れば、本日、米国では独立記念日を控え、多くのトレーダーにとって長い(不安定な)週末となるとみられることから生じた単なるポジション調整に過ぎない可能性がある

本日のECB会合は、注目を集めるだろう。ユーロ圏のデータは、最近改善しているが、「それほど不調ではなくなりつつある」ということを意味しているに過ぎない。ECBの委員会が、ユーロ圏経済を復活させるために、何等かの新たな追加策をとる緊急性は低下しているが、これまで導入してきた政策を後退させ始めるほどの改善に近いものも見当たらない。現在のポルトガルにおける政治的問題と、そこで生じている金利の急激な上昇、そして銀行団に合意することを政治家が拒否したことを考えれば、ECBはおそらく市場を鎮めるために、一定の行動をとることを望むだろう。ECB高官は、これまで以上に「将来的助言」に傾いており、ジャン=クロード・トリシェ氏がECB総裁だったときに、彼は、ECBは決して「前もって約束する」ことはないが、最近ECB高官は、どの程度の期間、金利を低いまま維持するかということに関する約束をする機会が増えている、としばしば発言していた。長期金利に関しても低いまま据え置くために彼らが採用できる手段は、より正式な「将来的助言」であろう。

「正式な助言」は、マーク・カーニー氏がカナダ銀行総裁だった時代に導入されたツールであり、本日、彼がイングランド銀行総裁に就任して初めての金融政策委員会(MPC)会議後に、そうした流れに沿った何かが示されるだろう。辞任したキング総裁に常に反対してきた6人のMPCメンバーが、誰か新しい人が会議の議長を務めたからというだけで考えを変える可能性は低いため、政策が完全に変更される可能性は低い。しかし、カーニー氏は、会議後に声明を発表する可能性があり、金融情勢が据え置かれた場合には声明が発表されないのが通常であるため、今回の声明が伝統を打ち破ることになるだろう。ギルト債の利回りが上昇しているため、銀行の準備が整う前に、市場が金融引き締めを行わないよう、彼がなんらかの方策をとることを望む可能性はある。政策を変更することなく、同行による市場とのコミュニケーションの改善が、MPCの目標達成に功を奏するかもしれない。通貨間の中期実質予想金利格差が、為替レートの主な決定要因のひとつであることを考えれば、おそらくECBとBoEからの将来的助言によって為替市場に生じ得る影響が、GBPとEURを押し下げるだろう。

マーケット

EUR/USD

• 政治的リスクの再燃により、ポルトガルの債券利回りが急上昇し、ユーロ圏のサービス業PMIが全般的に軟調だったことがこれに拍車を掛けたため、EUR/USDは、昨日、不安定な一日となり、1.2920のサポートまで下落した。その後、リスクオフ環境のなか、USDが対JPYで下落したため、反発が生じた。2月以来最高水準のADP雇用統計、週1の失業保険申請件数が予想よりも若干良好だったこと、米国の貿易赤字が1年ぶりの高水準となったこととが相俟って、市場がデータを消化しようとしたため、かなりのボラティリティーが生じた。その後の反発により、1.3030でレジスタンスを試し、オーバーナイトではUSD高が同ペアを1.2980のサポートまで推移させた。

• 本日、米国のデータの発表はないが、イングランド銀行とECBの会議によって、欧州取引時間中に変動が生じる可能性は高い。ECBの政策と非農業部門雇用者数が方向性を示すことを先に控え、EUR/USDは1.3000前後で保ち合いとなったため、サポート水準とレジスタンス水準は、基本的にここ2日間で試された水準である。

• 1.2980を下回るサポートは1.2955と1.2920に現れ、レジスタンスは1.3030、1.3055、1.3075に現れる。ECBによるさらなる緩和策が本日発表されれば、同ペアは1.2900、1.2875のトレンドライン・サポートまで推移する可能性があるが、明日に米国の雇用統計を控え、市場の過剰反応は抑えられる可能性がある。

USD/JPY

• リスクオフ・センチメントの復活により、USD/JPYは100.80のレジスタンスを下方突破し、50日移動平均と昨日のトレンドライン・サポートも見られる99.15 – 99.35領域にあるサポートまで下落した。100.00を突破すると、100.10でレジスタンスを見出し、オーバーナイトで99.70のサポートまで推移し、その後、レジスタンスは100に現れた。

• サポートとして注目すべき重要な水準は、99.70と99.15-99.35の充分に試された領域にあり、レジスタンスは100、100.40、そしてより重要な100.80にある。

GBP/USD

GBP/USDは、昨日、主な上昇ペアとなり、英国のサービス業PMIが2011年3月以来最高の数値を示したことを受け、1.5125 – 1.5140のサポート領域を突破し、1.5200の重要なレジスタンスを突破し、最初のレジスタンスを1.5270で見出し、その後、3月~5月のラリーの38.2%リトレースメント水準である1.5305までスパイクした。

• 本日は、カーニー氏の最初のBoE会議で、同ペアは、大幅に動く可能性がある。1.5270と1.5305を上回るレジスタンスは、1.5345と50日移動平均である1.5370に現れる。試された強力なサポートは、1.5200と1.5125 – 1.5140領域に現れ、次のサポートは1.5040に現れる。



• 金に対して強気な見方をする者は、リスクオフ環境を引き起こし、安全資産への逃避を招いたポルトガルとエジプトにおける政治的危機の中にあって、コモディティーがかなり不十分な上昇しか示さなかった点に留意すべきだろう。さらに、MBA不動産申込件数と米国のサービス業PMIが軟調だったことから、1259ドルのレジスタンスは2度試された。ポルトガルの利回りが急騰したため、1242ドル~1244ドルのサポートの下方突破は短命に終わった。

• サポートは、再び、1242ドル~1244ドル領域に見られ、弱いサポートは1234ドルに、強いサポートは1224ドルに現れる。1259ドルを上回るレジスタンスは、1269ドル前後に現れ、その後は1285ドルに現れる。

原油

• ADPの数値が好調だったことと、備蓄が2013年で最大の減少幅となったことから、原油は102ドルのレジスタンスを試し、100.50ドルをわずかに上回る水準でサポートを見出した。

• 102.00を突破すると、102.95ドルと、非常に重要なフィボナッチ・リトレースメント水準である103.80にレジスタンスが見られる。100.50~100.65領域を下回るサポートは、100円の大台に現れる。

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