USDは、依然として金曜日の非農業部門雇用者数における期待外れの結果に対する失望感に見舞われている。今朝、USDは、G10各国通貨の大半に対して下落したが、すべてが下落したコモディティー通貨に対してだけは例外であった点は注目に値する。大きく下げたのはNZDで、中国が、NZの大手乳製品メーカーであるFonterra社からの粉ミルクの輸入を停止したことを受け、急激に低下した。中国のサービス部門の7月のPMIが6月の53.9から54.1にまで上昇し、中国の景気減速が和らいでいる可能性を示唆したにも拘わらず、AUDとCADが下落したのはさらに意外なことであった。
コモディティー通貨における下落は、包括的要因よりも個別要因に因るものだろう。CADは、米国経済に比べてベータ値が高いことが原因で下落している可能性がある。すなわち、米国の活動が鈍化しているとすれば(確かなことは分からないが、雇用統計がこのことを示す一定の示唆を与えているのは確かである)、カナダ経済は、投資家が考えていたほど成長しない可能性がある。しかし、AUDは、こちらの時間で明朝のオーストラリア準備銀行の金利決定会合を控え、弱含んでいる可能性がある。評論家集団は、政策金利は25bpの利下げで2.50を目指すとほぼ全員一致で予想している。先物市場が、依然として来年3月までにさらなる利下げの可能性がわずかにあることを織り込んでいるにも拘わらず、投資家は、これが最後の利下げになると予想している。したがって、オーストラリア準備銀行は、これがボトムであるとの見通しを裏付ける何等かの声明を発表すれば、会議後にAUDが反発する可能性がある。投機的なグループは、大幅にAUDをショートしており、同通貨は、4月11日の最近のピーク以来、対USDで約16%下落しており、コミットメント・オブ・トレーダーズ報告書は、投機的勘定が7万2600のネット・ショート・ポジションに達しており、AUDのネット・ショートはこれまでで最大となっており、現在のところ、すべての通貨の中で2番目に大きなネット・ショート・ポジションとなっている(1番はJPY)。中国の景気減速によって貿易の持続的な減少が、長期的にAUDを下落トレンドに追いやる可能性はあるものの、利下げサイクルが終わりを告げれば、これらのポジションに対して(短期的な)一定の利食い売りが生じる可能性はある。
いずれにしても、我々は、今週末はUSDの購入者となるだろう。信じるか信じないかは別にして、今週、非農業部門雇用者数が期待外れに終わった場合は、同データが予想よりも好調だった場合に比べ、USDは全般的に上昇するだろう。確かに、過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを保証するものではないが、いずれにしても、ファンダメンタル要因を見る限り、長期的なUSDの強気相場にあり、まして現在は、より良いエントリー水準にあるためなおのことである。
本日発表される予定のその他のサービス部門PMIは、英国、イタリア、スイスなどで、ドイツ、フランス、EU全体の確報値が発表される。本日遅くに、米国でもこれに相当するサービス部門ISM指数が発表される予定である。ユーロ圏でも、6月の小売売上高が発表される予定で、前月比で5月の1.0%のプラスから0.7%のマイナスに転じると予想され、おそらくEURに対してはマイナスに働くだろう。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、金曜日のセッション中、上昇し、現在、1.3185と1.3300の間の短期的な取引レンジ内(青色の線)で取り引きされている。日足チャートで、この取引レンジを明らかに突破して閉じれば、それが、同ペアの次の方向性を決定することになるだろう。長期的(日足、週足)にも、1.2750と1.3415の間の取引レンジ内に留まっている。
• サポート:サポート水準は1.3185、1.3058、そして心理的水準である1.3000に認められる。
• レジスタンス:レジスタンスは、1.3300と長期的な取引レンジの上限にある1.3415の高値近くに存在する。
USD/JPY
• USD/JPYは、100円の心理的水準と、前のコメントで述べたトライアングル・フォーメーションの中央でレジスタンスを見出した後、金曜日のセッション中、下落した。20日移動平均は依然として200日移動平均を下回っている。長期的には、ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターン(日足チャート)を形成しつつあり、同ペアが95領域を下方突破すれば、このパターンが確認されることになるだろう。
• サポート:価格が98.55水準をどうにか突破すれば、97.67(50%)、96.77(61.8%)に向けて下落し続けることになるだろう。
• レジスタンス:最初のレジスタンスは、心理的水準である100円に見出され、その次は100.84と101.52水準に現れるだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは、1.5123水準(従来の上昇の動きの50%リトレースメント水準)でサポートを見出した後、金曜日のセッション中、上昇した。当社の見解では、同ペアは、調整局面を完成し、前の上昇トレンドの継続に回帰した。また、価格は、20日移動平均と200日移動平均の両方の上方突破に成功し、強気相場を裏付けた。長期的(日足チャート)には、1.5597と1.4811の範囲内での横ばい推移となっている。
• サポート:サポート水準は、1.5123、1.5050、1.4981に存在する。
• レジスタンス:同ペアは、1.5433のレジスタンス水準に向かっており、この水準の突破に成功すれば、同ペアは1.5597まで上昇するだろう。
金
• 金は、前回の上昇局面の38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準でサポートを見出した後、金曜日のセッション中、上昇した。そのことから、最近の下落は、上昇トレンドにおける調整であったとみられ、価格は、再び上昇への動きに回帰した。長期的(日足チャート)には、20日移動平均が、引き続き200日移動平均を下回っているため、価格は依然として下落トレンドにある。
• サポート:サポート水準は1300と1264.15に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、1347.27と1414.75に存在する。
原油
• WTIは、108.90の最近の高値水準でレジスタンスを見出した後、金曜日のセッション中、下落した。20日移動平均は、200日移動平均を上回っているため、最近の下落の動きは、戻しであり、価格は上昇の動きを続け、最近の高値を再び試すことになると予想される。
• サポート:サポートは、105.74、102.75(38.2%)、100.80(50%)に存在する。
• レジスタンス:短期的な観点に限って言えば、レジスタンス水準は、108.9のピークと心理的水準である110水準に存在する。次のレジスタンスは、週足チャートの114.4に認められる。
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