FOMCの議事録が、昨日の主なイベントであったことは言うまでもない。少なくとも、市場の反応は混乱していたと言えよう。最初の見出しが、バーナンキ議長による量的緩和縮小のスケジュールに多くの支持が集まっていることを示唆したため、債券利回りとUSDは当初急騰したが、その後、ウォールストリートジャーナルにおいて、広く注目を集めているFRBの動向を観察する人々によるより穏やかな解釈が報道されると、スケジュールは固定されたものであるとの見方が退けられたため、再び下落し、その後、再び上昇した。最終的な分析では、データが許す限り、FRBは、9月に量的緩和の縮小を開始する予定であるということをこの議事録は示唆していという結論に達した。この結論は、非常にデータに対して依存的であり、データが発表されるたびにボラティリティーが高まることを意味する。結果的に、USDは全面高となり、G10各国通貨と我々がフォローしている15の新興市場通貨すべてに対して上昇した。USDは、G10通貨、特に対NOK(+2.1%)、対SEK(+1.3%)で上昇し、新興市場通貨では、BRL(+2.5%)、ZAR(+2.5%)、MXN(+2.3%)で上昇した。
これは正に私が予想していた流れである。現在のFRBのボードメンバーは、FRBがその方向性に向かって進み始めるためには、バーナンキ議長の任期が終了する前に量的緩和の縮小が開始されることを望むだろう。これは量的緩和の縮小の始まりであり、量的緩和の終わりではないという事実にも拘わらず、我々の見解では、金融政策の焦点における変化は、USDをサポートする可能性が高いと考えられる。なぜなら、いったん量的緩和の縮小が始まれば、FRBによる利上げの日が日に日に近付いてくると市場が考えるためである。いくらFOMCが、2つの決定は全く別物であると主張しても、その事実に変わりはない。長期的には、これは米国の実質金利の上昇を意味するとみられ、USDを支持することになるだろう。
中国は、この日、好調なスタートを切り、HSBC/Markitの8月の製造業PMI速報値は予想よりもかなり良好であった。7月の47.7から50.1へと上昇した(48.2との予想を上回った)。このニュースが発表されたときには、AUD/USDは既に回復し始めており、その後さらに上昇したが、同ペアが、火曜日の午前中の水準を依然として下回っているため、それはわずかな幅にとどまった。AUDがそうした良好な数値-「景気拡大と縮小の分岐点である」50を超えるという予想外の回復-にも拘わらず回復できなかったということは、現在のAUDに対する消極的なセンチメントを示しており、それはおそらく、オーストラリア準備銀行の公表された意図が、AUD安を望んでいるためであると考えられる。これは、私のAUDに対する弱気な態度を裏付けるものである。
本日遅くに、フランス、ドイツ、EU全体が、製造業とサービス業の両者に関するPMI指数を発表する。製造業PMIは、すべて50を上回るとみられ、ユーロ圏各国は、拡大し続けていることを示している(ただし、フランスのサービス業PMIは、7月よりは改善するとみられるものの、50を下回ると予想される。)これがEURに対して何らかのサポートを提供する可能性がある。本日発表される米国の唯一の指標は、週に1度の失業保険申請件数であり、32万件から33万件へと若干の増加が予想される。しかし、4週間移動平均は、33万2千件に対して32万8千件と、引き続き低下するとみられるため、量的緩和の縮小の流れに乗り遅れてはならない!
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは低下し、心理的水準である1.3400(R1)を上回る水準を維持することができなかった。現在、同ペアは、1.3300(S1)のサポート水準に向けて推移しており、売り手が、価格を下落させるほど強いかどうかを見極めたいところである。しかし、EUR/USDは、より高い高値と、より高い安値を形成しつつあることから、引き続き上昇トレンドにあるとみられ、このことは、レートが200期間移動平均を上回っていることからも確認できる。
• サポート:サポートは、1.3300(S1)の心理的水準に見出され、1.3231(S2)と1.3152(S3)水準がこれに続くだろう。
• レジスタンス:1.3400(R1)にあった昨日のサポートは、現在、レジスタンスとなっており、1.3448(R2)と1.3517(R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
USD/JPY
• USD/JPYは、昨日上昇し、下落トレンドラインを上方突破し、現在、200日移動平均でレジスタンスを見出している。同ペアは、98.56(R1)のレジスタンス水準近くで取り引きされており、これを上方突破すれば、同ペアは心理的水準である100.00(R2)に向かうだろう。このチャネルを上回って推移することができなければ、それは価格が低下することを意味し、長期的なヘッド・アンド・ショルダーズの形成を促すことになるだろう。
• サポート:サポート水準は、98.05(S1)、97.00(S2)、95.77(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、98.56(R1)に存在し、心理的に切りの良い数字である100.00(R2)と100.84(R3)がこれに続くだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは昨日低下し、6月の高値(1.5752 R2)に達することができなかった。同ペアは、現在、1.5674(R1)のレジスタンスを下回って推移しており、1.5569(S1)のサポートに向けて推移しつつある。この水準で、売り圧力が買い圧力を上回れば、価格は、上昇トレンドラインに近い1.5431(S2)水準まで、現在の上昇トレンドを調整し続けると予想される。MACDオシレーターと価格動向との間の格差がマイナスであることから、MACDは同ペアの弱含みを示唆している。
• サポート:サポート水準は、1.5569(S1)、1.5431(S2)、1.5200(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンスは、1.5674(R1)に認められ、1.5752(R2)、1.5840(R3)(日足チャート)がこれに続くだろう。
金
• 金は、1376(R1)のレジスタンス水準を3回試した後、昨日のセッション中、若干上昇した。現在、金は、小幅な動きを示しており、1347(S1)に向けたリトレースメントの可能性がある。売り圧力がこの水準の下方突破を引き起こせば、リトレースメントは、1320(S2)のサポート水準と青線の上昇トレンドまで続くだろう。MACDが減速しつつあり、トリガー・ラインを下回っているため、弱さは、MACDによっても示されている。長期的(日足チャート)には、20日移動平均が引き続き200日移動平均を下回っているため、金は引き続き、長期的な下落トレンドを調整しつつあると考えられる。
• サポート:サポート水準は、1347(S1)に存在し、1320(S2)と1271(S3)がこれに続く。
• レジスタンス:レジスタンスは、1376(R1)に認められ、1422(R2)と1485(R3)(日足チャート)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは昨日、低下し、心理的サポート水準である105.00(S1)を突破した。現在、WTIは、102.62(S2)に向いつつあり、明らかにこの水準を下方突破すれば、取引レンジからの脱出と、トリプル・トップ・リバーサル・フォーメーションの完成を示唆することになるだろう。しかし、WTIが引き続き102.62(S1)と108.85(R3)の間の取引レンジ内にあるため、より鮮明な予想図を手にするためには、出口の方向性を確認する必要があるだろう。
• サポート:サポート水準は、102.62(S1)、100.80(S2)、97.80(S30)に
存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、105.00(R1)、107.53(R2)、最近の高値である108.85(R3)に存在する。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要