最初にアクション、そしてリアクション:木曜日、USDは下落したが、金曜日は、セントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁が量的緩和の縮小に対する期待を再燃させたため、回復した。市場の多くの人々は、FOMCは、債券買取制度における量的緩和の縮小を今月開始しないための強力な根拠を掌握しているに違いないと考えていた。FOMCは通常、市場の期待に応えることの方を好み、市場に混乱を引き起こすことは好まないからである。しかし、ブラード氏は、この決定は「不明確」なものであり、データが許すならば、FOMCの10月29日~30日の会議が、「小幅な縮小」を決定することを可能にする「生きた」FOMC会議であることを明かした。今回の決定に「失望した」と言うカンザスシティー連銀のタカ派であるエスター・ジョージ総裁とは異なり、ブラード氏は金融政策に関して中道派であるという点において、このコメントは重要であった。このため、出発点に再び戻り、我々は量的緩和の縮小に関する憶測を再開する。木曜日、最大の勝者となったNOKは、金曜日に最大の敗者となり、新興市場では、USD/ZARが、FOMC前の水準さえをも上回って閉じた。ボラティリティーは、上昇する可能性が高く、米国の各経済指標—特に週1の失業保険申請件数とその他の労働市場統計—が、注目される。ブルームバーグの調査によれば、現在、エコノミストのわずかに過半数を上回る人々(41人中24人)が、量的緩和の縮小は12月17日~18日の会議(11月の会議はない)に始まると予想しているという。
ドイツでは、メルケル首相が、有権者からの目覚ましい支持を勝ち取ったが、彼女の連立の相手方である自由民主党(FDP)は、議会から脱落する可能性が高く、彼女の個人的な勝利は、連立与党全体の勝利というわけではない。それどころか、この結果は、ドイツの政治的構造における大きな変化になるだろう。FDPは通常、サプライサイドの成長改革を支持し、税の引き上げに反対する立場をとっているため、同党の敗北は、ドイツの長期的な成長の可能性を引き上げるようなリベラルな政策を支持する声を弱めることになるだろう。改革の体制を整えつつある国々があるなか(皮肉なことにドイツからの圧力下にある)、ドイツが改革面で徐々に後退していることから、リスクは、ドイツ経済の優位性が、FDPが政権を取った場合よりも若干早く消滅する可能性があるという点である。しかし、構造改革の減速は、長期的な成長に影響するだけで、短期的には、メルケル氏と強化された彼女のCDU/CSUが政権にあるため、ドイツは、欧州の政策を圧倒的に支持することをアピールしている。このため、私は、EURに対して若干明るい結果を予想している。ただし、見込まれる結果---SPDとの連立---は、市場が予想していたことにかなり近いことから、驚きはないだろう。彼女の一期目の期間中は、CDUがSPDと連立を組んでいたことから、政策の大きな変更の可能性は低い。社会民主党は、周辺諸国における緊縮財政をあまり支持していない。これは、ユーロ圏の成長に寄与する可能性があり、ひいては、ECBに対する緩和圧力を払拭する可能性があることからEURにはプラスであろう。
本日は、中国、フランス、ドイツ、ユーロ圏全体の9月の製造業およびサービス業PMIの速報値の発表が予定されている。中国は、昨晩、8月の50.1から上昇して、予想よりも高い51.2という結果を残した。欧州の製造業PMIはすべて改善し、50を上回ると予想されており、ユーロ圏経済が引き続き拡大していることを示すと予想され、これがEURに対してプラスに働く可能性がある。米国では、Markitの9月の製造業PMI速報値が発表されるが、ISM指数(10月1日の発表予定)ほどは注目されていない。市場は、本日、ニューヨーク連銀総裁のダドリー氏、アトランタ連銀総裁のロックハート氏、ダラス連銀総裁のフィッシャー氏など、何人かのFRB高官の発言に注目するだろう。ハト派的なダドリー氏(ロイターの5段階評価で1)は、これらのスピーチの中でおそらく最も注目されるとみられ、他の二人が投票権を有していないためなおさらのことである。また、ECB総裁のマリオ・ドラギ氏は、ブリュッセルで行われる欧州議会で発言する。今週の主な議題は、次のFRB総裁の発表と、米国の財政合意(またはこの点に関して合意に達しない)に関する新たなニュースであり、これはUSDにとってかなりマイナスに働く可能性がある。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは引き続き横ばいとなり、1.3517(S1)と1.3564(R1)の間の水準に留まった。欧州で月曜日が始まると、同ペアは1.3517(S1)のサポートを試し始め、これを明らかに下方突破すれば、1.3448(S2)と青色の上昇トレンドラインに向けた短期的な調整の兆候となるだろう。一方、強気筋が1.3564(R1)をどうにか上方突破できれば、2月の1.3706(R2)の高値に向けてさらに推移するきっかけとなるだろう。しかし、RSIが買われ過ぎの領域を脱したばかりであり、MACDがトリガーラインを下方にクロスしたため、オシレーターがいずれも弱気のサインを示していることから、前者の可能性の方が高いだろう。
• サポートは、1.3517(S1)水準に見出され、1.3448(S2)と1.3400(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス水準は、1.3564(R1)水準にあり、1.3706 (R2)と1.3846 (R3)が
これに続くだろう。後者の二つは、日足チャートに見出される。
EUR/JPY
• EUR/JPYは、134.69(R1)水準と青色の上昇トレンドラインの上限でレジスタンスを見出した後、金曜日のセッション中に低下した。私の見解では、下方への戻しは、前回の波の38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準である132.63(S2)のサポートまで続く可能性がある。RSIが買われ過ぎの領域を脱し、MACDがトリガーラインの下方に突入したばかりであるため、いずれのオシレーターによっても弱気な兆候が示唆されている。しかし、価格が依然として、青色の上昇トレンドチャネル内で推移しており、20期間移動平均が200期間移動平均を上回っているため、同ペアの全体的なトレンドは、上昇トレンドにあると考えられる。
• サポート水準は、133.34 (S1)にあり、132.63 (S2)と131.70 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、134.69 (R1)に認められ、135.64 (R2)と136.74 (R3)がこれに続くだろう。後者の二つは、週足チャートに見出される。
GBP/USD
• GBP/USDは、1.6160(R1)水準でレジスタンスを見出した後、下落した。欧州の開場時、同ペアは、心理的なサポート水準である1.6000(S1)を試しており、これを明らかに下方突破すれば、短期的な調整局面の始まりを示唆する可能性がある。一方、強気筋が、この重要な水準をどうにか上回るところで維持できれば、新たな短期的高値に向けて強気な流れが生じるだろう。MACDオシレーターは、トリガーラインを下回っており、同価格動向の弱気な指標を提示しているため、最初のシナリオを示唆している。
• サポート水準は、心理的水準である1.6000 (S1)と、1.5892 (S2)、1.5840 (S3)に認められる。
• レジスタンスが、1.6160 (R1)に見出され、1.6300 (R2)と1.6380 (R3)がこれに続くだろう。後者はいずれも日足チャートに見出される。
金
• 金は、金曜日、1368(R2)水準でレジスタンスを見出した後に下落した。金は、1337水準(金曜日のサポート水準)をどうにか下方突破し、右肩下がりのチャネルに回帰した。現在、価格は1305(S1)のバリアーに向けて推移しており、弱気筋がこのままの弱気な推移を維持し、この水準を下方突破すれば、1271(S2)で次のサポートを試すだろう。MACDオシレーターは、ゼロ水準近くにあり、弱気な趨勢を裏付けているわけではないが、トリガーラインを下方に交差し、弱気な領域への突入の可能性を示唆している。
• サポート水準は、1305 (S1)にあり、1271 (S2)と1245 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは1337(R1)水準に認められ、1368 (R2)と1394 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、引き続き下落し、105.23(金曜日のサポート)水準を下方突破した。価格は現在、下落トレンドチャネルの下限と一致する104.21(S1)水準でサポートを見出しつつある。この強力なハードルを明らかに下方突破すれば、次のサポート水準である103.44(S2)と102.21(S3)を目指すだろう。20期間移動平均は、200期間移動平均を下方に交差したばかりであり、MACDの弱気な指標からも、WTIの弱気な様相が伺える。
• サポート水準は、104.21 (S1)、103.44 (S2)、102.21 (S3)に存在する。
• レジスタンス水準は、105.23 (R1)に存在し、106.71 (R2)と108.85 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要