木曜日、USDはG10通貨に対してまちまちとなり、対新興市場通貨で全般的に下げた。USDの動きには大したパターンは見られず、対JPYで上昇し、典型的なリスクオン取引となったが、対CHFでは下落し、リスクオフ取引となった。NOKとSEKはいずれも下落し、EURとGBPはいずれも上昇した(EUR/GBPは若干下落した)。昨日の米国の指標は、通貨市場に持続的な影響を及ぼさなかった。8月の耐久財受注総合指数は、予想を若干上回ったが、コア受注(航空機を除く非軍事受注)は予想を下回った。8月の新築住宅販売は、予想を上回ったが、MBA住宅ローン申し込み件数は、最近の金利低下の後の回復に関していくつかの兆候を示した。これによって、FRBは、来月、量的緩和の縮小を開始することを後押しされる可能性がある一方、量的緩和の縮小を延期し、金利の引き下げを続けるという決定が正しかったことを裏付ける可能性がある。
いずれにしても、米国政府閉鎖の可能性が、市場に影響を及ぼし始めているようだ。米国のルー財務長官は、昨日、政府は、議会が債務上限を引き上げなければ、10月17日までに資金不足に陥るだろう、と語った。私は、FRBは来月、量的緩和の縮小を再び遅らせる可能性があり、その開始は早くても12月になるとみている。これは、向こう2カ月半にわたって低金利が続くことを意味する。低金利は、理論的には、比較的ベータ値の高い通貨への投資家の移動を促すと考えられるが、おそらく米国の債務問題の影響に対する懸念は、全く逆の影響力を持つことになるだろう。
今朝は、フランスの9月の消費者信頼感指数とイタリアの7月の小売売上高が発表される。いずれも市場を動かす大きな材料ではないが、監視する必要はある。フランスの消費者信頼感指数は、若干上昇すると予想され、イタリアの小売売上高は、低下すると予想されるが、前月よりはそのペースが鈍化すると予想される。ユーロ圏の8月のM3の年間伸び率は、前年比2.2%から2.3%へと若干の加速が予想される。英国では、第2四半期GDPの確報値が発表される予定で、当初の速報値から変わらないと予想される。第2四半期の経常赤字は、145億ポンドから110億ポンドへと縮小することが予想される。米国では、週1の失業保険申請件数が、コンピューター問題の解決に伴い、30万9千件から32万5千件へと増加することが予想される。米国の8月の仕掛住宅販売は、7月の前月比-1.3%から1.0%へと低下することが予想される。オーバーナイトでは、日本の8月の全国CPIが発表される。前年比+0.7%から+0.8%へと若干の加速が予想され、安倍首相のリフレ政策の成功と主張する人がいるかもしれないが、この上昇は、エネルギー価格の上昇によるものであり、インフレではなくデフレである。コアCPI(エネルギーと生鮮食品を除く)は、7月とは変わらず、依然として前年比-0.1%のデフレを示すと予想される。再び、多くの中央銀行関係者からの発言が控えている。FRBからは5人、ECBからは4人、ブンデスバンクからは2人、そして、インド中央銀行の新総裁による発言が予定されている。しかし、FRBおよびECBの発言者の大半は、最近発言しているため、市場に驚きをもたらす可能性は低い。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、青色の上昇トレンドラインから反発した後、再び1.3512水準を上回った。欧州のオープニング時に、同ペアは若干これを上回る水準で推移しており、ロング派が充分に強く、モメンタムを維持することができれば、再び1.3564(R1)のレジスタンス水準を試すと予想される。このハードルを明らかに上方突破すれば、短期的な高値更新に向けて推移するだろう。MACDオシレーターは、強気な領域に入り、トリガーラインを上方にクロスする準備は整っており、上昇トレンド持続の公算が高まっている。
• サポートは、充分に試された1.3512(S1)水準に見出され、1.3400 (S2)と1.3321 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス水準は、1.3564(R1)水準に存在し、1.3706 (R2)と1.3745 (R3)がこれに続くだろう。最後の一つは、日足チャートに見出される。
USD/JPY
• USD/JPYは、98.53水準を下方突破したが、欧州時間の早朝には、大きな白色ロウソクが価格を押し上げ、青色の上昇トレンドラインを再び試した。買い圧力が価格を押し上げ続け、99.15(R1)水準を上方突破することができれば、同ペアは上昇トレンドに回帰すると考えられる。一方、これに失敗すれば、98.53水準まで戻し、より低いサポート水準に向けた弱気な流れが予想される。20期間移動平均が200期間移動平均を下回る弱気なクロスが既に生じていることから、移動平均は後者のシナリオを支持している。
• サポート水準は、98.53(S1)に存在し、97.87 (S2)と97.00 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスが99.15 (R1)に認められ、99.66 (R2)と心理的に切りの良い数字である100.00(R3)がこれに続くだろう。
EUR/GBP
• EUR/GBPは、前回の下落局面の38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準と一致する0.8462(R1)水準でレジスタンスを見出した後に低下した。欧州の開場時には、同ペアは、0.8408(S1)のサポート水準を試しており、これを明らかに下方突破すれば、0.8355(S2)水準を目指すことになるだろう。日足チャートでは、後者のサポート水準の下方突破が、新たな長期的下落トレンドの最初の兆候になる可能性がある(EUR/GBPは1月以来のこの水準を下回ったことがない)。
• サポート水準は、0.8408 (S1)、0.8355 (S2)、0.8320 (S3)に認められる(日足チャート)。
• レジスタンスは、0.8462 (R1)に存在し、0.8504 (R2)と0.8552 (R3)がこれに続くだろう。
金
• 金は、昨日、1316(S1)のサポート水準を首尾よく試した後、どうにか上昇した。現在、金は、1335(R1)を若干下回っており、これを上方突破すれば、1368(R2)水準に向けた強気な流れが引き起こされるだろう。しかし、当社のオシレーターはいずれも中立的水準にあり、次の方向性に関する示唆は見当たらない。
• サポート水準は、1316 (S1)に存在し、1291 (S2)と1273 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、1335(R1)水準に認められ、1368(R2)と1394(R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、昨日下落し、再び102.23(S1)の強力なサポートに達した。欧州の開場時、価格は、この水準を試しており、これを明らかに下方突破すれば、WTIは短期的な安値の更新に向けて推移するだろう。一方、強気筋が、この機会を利用し、彼らのポジションをこの水準近くで積み増せば、WTIはおそらく青色の下落トレンドチャネル内にまで調整されるだろう。
• サポート水準は、102.23(S1)、100.65 (S2)、99.12 (S3)に存在する。最後の2つは、日足チャートに認められる。
• レジスタンス水準は、103.53(R1)に存在し、104.40 (R2)と106.06 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要