USDが全般的に強い一日であった。大半のG10通貨と我々がフォローしている大半の新興市場通貨に対してUSD水準は変わらなかった。G10通貨の中では、NZDとNOKだけが、対USDで上昇した。AUDが敗者となる中、NZDの強さは注目に値するものであった。すなわち、オーストラリア準備銀行(RBA)は来週水曜日に会議を予定しており、ハト派的な論調である一方、ニュージーランド準備銀行は明らかにタカ派的である。金融政策格差を利用した取引の中では、AUD/NZDのショートが、現在利用可能な取引としては最も純粋なものであると言えよう。
米国政府が破滅への道を辿りつつあるように見受けられることを考えれば、USDの強さは奇妙に見える。米国債務に対する1年物CDSは、先週、11.4から31へとほぼ3倍になった(ただし、月曜日の57.5からは低下している)。絶対評価で見れば、これでもまだ非常に高い水準とはいえない(たとえば、イタリアの場合は115である)が、共和党が演じているチキンレースに対する恐れが高まっていることを示唆している。さらに、昨日の経済データがまちまちとなり、失業保険申請件数が減少する一方、仕掛住宅販売は3ヵ月連続で鈍化した。
米国では、政治が悩みの種であるが、ユーロ圏にも問題はある。昨日、前ベルルスコーニ首相の議会での協力者が、「ベルルスコーニ氏が除名されれば、我々すべてが除名を宣言する」と述べるなど、脅しをかけた後、イタリアの債券利回りは10bpも急騰した。イタリアの連立政権は、ベルルスコーニ氏の協力者に依存しているため、崩壊する可能性がある。EUR/USDは、両国の政治的問題のせいで、レンジ内でどちらの方向にも動けない状況に陥っているが、その他のペアが恩恵を受けることを妨げることはないだろう。CHFは、この問題に呼応するかたちで安全資産への資金流入が生じたことで、さらに強含む可能性が高いと考えられるが、EUR/CHFは1.2268が下限であることを指摘したい。すなわち、SNBが、1.20のフロアーに対する公約を再確認しているのである。少なくとも、ボトムがその水準になる可能性が高いことは明らかである。
欧州の朝は、9月の全英住宅価格指数が上昇すると予想されているという英国からのニュースで始まった。このニュースがGBPを押し上げた可能性がある。本日はこの後発表される、ドイツの9月のEU統一CPIの速報値が前年比+1.6%にとどまると予想されているが、市場への影響はないだろう。ノルウェーの9月の失業率が低下すると予想される。水曜日には、7月の労働力調査失業率が、予想よりも高かったことが明らかになった後、NOKが急激に下落していることから、本日の失業率の低下がNOKの一層の上昇を後押しする可能性はある(ただし、水曜日のものとは異なり、このシリーズは季節調整がなされていない)。米国では、8月の個人所得と支出の伸びが加速したと予想され、9月のミシガン大学消費者信頼感指数の確報値が、上方修正されると予想される。これら二つの指標は、USDにとってプラスとなる可能性がある。本日は、FRBから3名、ECBから2名の発言が予定されている。欧州時間午前中に、ECBのマリオ・ドラギ総裁と、イタリア銀行総裁でありECB評議委員会の副総裁であるヴィスコ氏がミラノで発言する。午後には、ニューヨーク連銀総裁のウィリアム・ダドリー氏が、今週3回目の発言を行う。シカゴ連銀総裁のチャールズ・エヴァンズ氏は、現在の経済情勢と金融政策についてノルウェー銀行会議で発言し、ボストン連銀総裁のエリック・ローゼングレン氏は、ニューヨークで資金調達の安定性に対する分析を発表する。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、1.3536(R1)水準でレジスタンスを見出した後、下落し、青色の上昇トレンドラインの下方突破に成功した。欧州の開場時に、同ペアは、1.3461(S1)のサポート水準を目指しており、明らかな下方突破が、充分に試された1.3400(S2)のサポート水準に向けたさらなる推移のきっかけになるだろう。最近の弱さは、MACDが下落し、トリガーラインを下回ってクロスしていることによっても裏付けられている。しかし、20期間移動平均が200期間移動平均を上回っていることから、何らかの下落の動きも、短期的な調整であると考えられる。
• サポートが、1.3461 (S1)に見出され、1.3400 (S2)と1.3321 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス水準が、1.3536 (R1)にあり、1.3564 (R2)と1.3706 (R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
EUR/JPY
• EUR/JPYは昨日、横ばい推移となり、132.70(S1)と134.00(R1)水準の間に留まった。欧州の開場時、レートは、以前の水準に向かって若干下落する傾向を示している。弱気筋が充分に強く、このハードルを突破できれば、上昇トレンド・チャネルの下限と、131.92(S2)のサポートを目指すだろう。しかし、価格がチャネル内で推移しており、移動平均の強気なクロスが依然として見られるため、全体的な同ペアのトレンドは、依然として上昇トレンドにある。
• サポート水準が、132.70 (S1)にあり、131.92 (S2)と130.96 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、134.00(R1)に認められ、134.66 (R2)と135.63 (R3)がこれに続くだろう。最後の一つは、週足チャートに見出される。
GBP/USD
• GBP/USDも横ばい推移となり、心理的水準である1.6000(S1)を若干上回る水準にとどまった。この水準近くで大きな攻防があるとみられるため、状況を明確に見極めるためには、勝敗を見極める必要があるだろう。弱気筋が勝てば、これまでのコメントで述べた通りの調整局面に向けて推移するきっかけとなるだろう。一方、強気筋が勝てば、直近では1月初旬に見られた高値に向けて推移するだろう。
• サポート水準は、1.6000(S1)、1.5890 (S2)、1.5840 (S3)にある。
• レジスタンスは、1.6160 (R1)に見出され、1.6276 (R2)と1.6376 (R3)がこれに続くだろう。
金
• 金は、1335(R1)水準でレジスタンスを見出した後、わずかに低下した。金は、1316(S1)のサポート水準と前述のレジスタンス水準の間にとどまっている。買い圧力が前回のピーク水準に向けてさらに推移するほど強くないことから、金のバイアスは中立であるとみられる。このことは、RSIとMACDがいずれも中立的水準にあることからも裏付けられている。
• サポート水準は、1316 (S1)にあり、1291 (S2)と1273 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、1335(R1)水準に認められ、1368 (R2)と1394 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは再び102.23(S1)の強力なフロアーで反発し、前述のサポートと103.53(R1)のレジスタンス水準の間に留まった。売り圧力は、WTIを、102.23(S1)のサポートを下回る水準に押しやるほど強くはないとみられるため、チャネルに向けた上昇への戻しがあったとしても不思議ではない。しかし、短期的なトレンドは依然として下落トレンドにあり、このことは、右肩下がりのチャネルに現れており、移動平均の弱気なクロスオーバーによっても裏付けられている。
• サポート水準は、102.23(S1)、100.65 (S2)、99.12 (S3)に存在する。最後の2つは、日足チャートに認められる。
• レジスタンス水準は、103.53 (R1)にあり、104.40 (R2)と106.06 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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