昨日あなたが心配していたその日がやって来た:
米国政府の閉鎖と財政の崖からの転落は不可避であるが、イタリアと日本から比較的良いニュースがもたらされた。今のところ、米国が最大の問題として取り残され、USDに対する足かせとなる可能性が高い一方、JPYとCHFは押し上げられる可能性が高い。ベータ値の高い通貨に関してはまちまちな様相である。米国金利の低下が理論的にはそれらを押し上げるはずだが、リスク回避がそれらに重く伸し掛かる可能性は高い。
政治に関するアナリストは、2日~5日の閉鎖が生じる可能性は高いと言うが、1週間から2週間の閉鎖の可能性も充分にある。実際、米国では閉鎖はかなりふつうのことであり、連邦政府は1976年以来17回閉鎖している。ただし、今回は1995年以来で初めてということになる。通常、米国債は、完全に「安全な」投資先であり、政府が閉鎖している間でさえ、米国債利回りは低下すると予想される(確かに、政府の支出減少による貯蓄で、米国債の魅力は増すことになる!)。その上、閉鎖により、FRBが資産買入を10月の会議まで続ける可能性が高まることになる。たとえば、長期FF先物のインプライド金利は、昨日3bp下落した。これはおそらくこうした考え方によるものであろう。金利の低下は、世界中でリスク資産の押し上げに貢献する可能性があり、AUDやNZDなどベータ値が高く、比較的金利の高い通貨にとってはプラスに働くだろう。歴史的に見て、USDは閉鎖前に低下し、その後回復していることから、債務上限問題が解決されれば、最近のUSDのラリーに遅れが生じるだけで、障害とはならないのかもしれない。
しかし、今回のケースで新たな点は、債務上限の引き上げに四苦八苦している点であり、ティー・パーティーの出現まで、それは全く注目を集めない当たり前の出来事であった。政府閉鎖のリスクが、米国政府の最大の「難問」である債務上限に関する論争に間違いなく発展するという点が、この危機に付加された予測不能な要素である。私が知る限り、米国が債務に対する金利を支払えなかったということはかつて一度も発生していない。
政府が利払いを行えない可能性があるというリスクがあるのなら、米国債とUSDが引き続き安全資産であるかどうかは見極める必要がある。万が一そのようなことになれば、米国政府の信用力に破滅的な影響力が生じる可能性があり、リスクプレミアムが高まり、米国金利は永久に高まり、それによって米国の成長率は落ち込み、世界の準備金としての優位性は低下するだろう。そのように強烈な「リスクオフ」シナリオの可能性は、最初にJPYとCHFを押し上げ、成長通貨に対する足かせとなる可能性が高い。ただし、数少ないAAA国のひとつであるオーストラリアが、最終的にこの危機から恩恵を受ける可能性があることには留意すべきだろう。新興市場通貨は依然として、リスク回避に対しては脆弱であり、米国が債務上限に達すれば、安全資産への逃避が生じるだろう。BRL、ZAR、INR、TRY、IDR-金融界では「脆弱な5通貨」と呼ばれている-は、おそらく最も脆弱な通貨だろう。
イタリアでは、ベルルスコーニ前首相が政府への対抗を続ければ、約20人の議員が彼のPDL党から離脱する可能性が浮上したことを受けて、同氏は、政府に対するスタンスを和らげることを検討し始めたとの報告が上がっている。レッタ首相にとっては、PDLから少なくとも24票、あるいは5人のスター・ムーブメントのメンバーが明日の不信任投票で生き残ることが必要だろう。このレポートによって、イタリアのリスクは減退しており、米国は、最も問題を抱えた国として残されることとなった。これにより、EUR/USDは上昇する可能性がある。
日本では、短観が予想をはるかに上回り、9月の大企業製造業に対する業況判断指数(DI)が6月の4から12まで上昇した。これは市場の予想である7を上回るもので、10まで上昇するとしていた6月の製造業自身の予想をも上回るものであった。残念ながら、第4四半期には、1ポイント低下して11になると予想されているが、製造業でも非製造業でも、同調査が多くの部門で改善を示したため、センチメントの足かせとはなっていないようだ。株式市場はこのニュースを受けて若干上昇し、消費税に関する安倍首相の計画が発表されるのを待っている。消費税が5%から8%に引き上げられ、予想どおり少なくとも1年目には金融刺激策によってこれを相殺するとなれば、株式市場がさらに上昇する可能性があるため、この件は、USD/JPYに対してかなり中立的、あるいはむしろプラスに働くことになるだろう。同時に、国内的要因ではなく、国際的な要因がJPYを支配する可能性が高まっており、米国政府の閉鎖によって生じた世界のリスク回避が少なくともJPYの一時的な上昇をもたらす可能性は高いと考えられる
オーストラリア準備銀行(RBA)は、世界中が予想していたとおり、2.5%で金利を据え置いた。重要な点は、会議後の声明が、緩和による全影響は、今のところ「まだ収束しておらず、それにはまだしばらくかかるだろう」とされたことである。これは、さらなる緩和が必要ないことを暗示している。その結果、AUDは上昇した。上述のとおり、米国金利に対する予想が低下していることが、近い将来AUDに恩恵をもたらすことになる可能性は高い。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは上昇し、昨日のオープニングギャップをカバーした。同ペアは、9月18日以来、依然として、1.3461(S1)のサポート水準と1.3564(R1)の間の短期的な保ち合いレンジにある。MACDオシレーターは、ゼロを若干上回っており、1.3564(R1)の上方突破の可能性が高まっている。しかし、私の見解では、次の方向性を見極めるためには、保ち合いレンジを明らかに突破するのを待つ必要があるだろう。
• サポートは、1.3461 (S1)、1.3400 (S2)、1.3321 (S3)に認められる。
• レジスタンス水準が、1.3564 (R1)に存在し、1.3655 (R2)と1.3706 (R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
EUR/JPY
• 昨日、EUR/JPYは欧州の夕刻に急騰し、弱気なギャップをカバーし、132.70のバリアー(昨日のレジスタンス)を上方突破した。本原稿執筆現在、レートは、上述の水準と134.00(R1)のレジスタンスの間にあり、強気バイアスが続けば、レートは、強力なレジスタンスに直面すると予想される。価格が、依然として右肩上がりのチャネル内で取り引きされており、20期間移動平均が200期間移動平均を上回って推移しているため、同ペアの全体的なトレンドは引き続き上昇トレンドにある。
• サポート水準は、132.70 (S1)にあり、131.92 (S2)と130.96 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、134.00 (R1)にあり、134.66 (R2)と135.63 (R3)がこれに続くだろう。最後の一つは、週足チャートに見出される。
GBP/USD
• GBP/USDは、フラッグ・コンティニュエーション・パターンの完成後に上昇し、1.6160のハードル(昨日のレジスタンス)を突破した。欧州の午前中、同ペアは、次のレジスタンスである1.6276(R1)を目指して推移し、これを明らかに突破すれば、直近では1月初めに観察された領域を目指すことになるだろう。レートが、20期間移動平均と200期間移動平均のいずれをも上回って推移しており、MACDがゼロとトリガーラインのいずれをも上回っていることから、その他のテクニカルな分析は、前述のシナリオを支持している。
• サポート水準は、1.6160 (S1)、1.6000 (S2)、1.5890 (S3)に認められる。
• レジスタンスは、1.6276(R1)に見出され、1.6376 (R2)と1.6470 (R3)がこれに続くだろう。最後の2つは週足チャートに見出される。
金
• 金は昨日低下し、安全資産としての地位を徐々に失いつつあることを裏付けた。金は、1316(S1)と1343(R1)の間の調整局面にあり、これは、MACDとRSIオシレーターのいずれもが中立的水準にあることからも裏付けられている。このため、金の将来の方向性に関してより良い予想を行うためには、いずれかの水準を明らかに突破するのを待つ必要があるだろう。
• サポート水準は、1316 (S1)に存在し、1291 (S2)と1273 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、1343 (R1)水準に認められ、1368 (R2)と1394 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは上昇し、再び重要な水準である102.23(R1)を試した。価格はこの水準でレジスタンスを見出し、現在、これを若干下回る水準で推移しており、弱気筋が100.72(S1)のサポート水準に向けてこの動きをさらに続けようとしていることが伺える。さらに、WTIは、20期間移動平均と200期間移動平均のいずれをも下回っており、MACDのマイナスの値も伴っていることから、下方バイアスの継続の可能性が高まっている。
• サポート水準は、100.72 (S1)、99.18 (S2)、98.00 (S3)に存在する。これらは日足チャートに認められる。
• レジスタンス水準は、102.23 (R1)に存在し、103.53 (R2)と104.40 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
マーケット概要