議論に進展なし
昨日いくつかのデータが発表されたが、米国政府の閉鎖が引き続き市場を席巻した。一方で、下院共和党議員の会合で、ベイナー氏が発言するという点にいくらか希望を見出すことができた。彼は、たとえデフォルト回避を可決することが、民主党に依存することを意味するとしても、それを行う決意があると、同党員に断言していると伝えられている(米国の政治的システムでは、下院議員の過半数を有する党が投票に掛ける議案を提出することになっているが、共和党は、民主党の支持なしで、自分たちだけで可決することができない議案は提出しないという非公式なルールを持っている)。その一方で、インディアナ州の保守的な共和党議員であるマーリン・スタッツマンは、今や有名となった演説を行った。「我々は、尊敬に値しない者になろうとしているわけではない。このことから恩恵を受けなければならない。そして、それが何であるかということさえ分からない」と述べた。言い換えれば、共和党の指導者が、最悪の事態を避けようとしているように見受けられる一方で、一般党員の中には、もはや何について議論しているのかさえ分からないにもかかわらず、戦いを続けると決意している者もいるということである。民主党の指導者の交渉開始時の状況が、共和党が政府への資金提供に合意し、債務上限を引き上げない限り、言い換えれば、共和党が完全に妥協するまで交渉を始めないということを考えれば、この交渉は長引く可能性が高いだろう。ベイナー氏が個人的に何を話したかに拘わらず、報道によれば、参加者の中には、債務上限に近づけば近づくほど、彼らの勢力は拡大すると信じている者もいるため、さらに2週間は長引く可能性がある。これによって、引き続き、USDは引き下げられ、CHF、JPY、EURは押し上げられる可能性が高い。
米国政府の閉鎖は、政府統計がないことを意味するため、経済カレンダーへの関心は薄れつつある。米国の非農業部門雇用者数は、本日のハイライトであるはずだったが、発表されないだろう。これらが発表されないなか、市場は、なおのことFRBの発言者に焦点を絞りつつある。昨日、アトランタ連銀のロックハート総裁は、量的緩和の縮小に関して、「政府統計がないため、どちらかと言えばより慎重になるだろう」と述べる一方で、10月のFOMC会議での動きについては、「排除」しなかった。この一節-政府の閉鎖は、FRBにあまり影響しない-は、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁によっても繰り返され、同総裁は、「2つのデータがないということの金融政策への影響を誇張したくはない」と述べた。ウィリアムズは、失業率は、2015年初めに6.5%未満にまで低下すると予想しており、2015年の下半期の一定の時期までFFレートを引き上げるのは適切ではないと考えている。
本日、市場は、5人の連銀のスピーカーの発言に焦点を絞る可能性が高い。特にニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言が注目される。ダラス連銀のフィッシャー総裁(同総裁は木曜日にも発言した)、FRBのスタイン理事、リッチモンド連銀のラッカー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁も発言する。
本日、欧州は、ドイツのPPIで始まる。市場は、7月の前月比0.1%の低下に対し、8月は変わらずと予想している。同日遅くには、ユーロスターが、ユーロ圏の8月のPPIを発表する予定で、7月の前月比0.3%に対し0.1%の上昇が予想される。
マーケット
EUR/USD
• 昨日、EUR/USDは、上昇し続けた。同ペアは現在、重要なサポート水準である1.3564(S1)とレジスタンス水準である1.3654(R1)の間で推移している。ロング派がこの勢いを持続し、この天井をどうにか突破することができれば、短期的な新たな高値に向けてレートは推移するだろう。私は、2月の高値である1.3706(R2)を試すとみている。MACDオシレーターが強気な領域にあり、トリガーを上回っており、レートは20期間移動平均と200期間移動平均のいずれをも上回って推移していることから、我々の短期分析はこの考えを裏付けている。
• サポートは、 1.3564 (S1)、1.3461 (S2)、1.3400 (S3)に認められる。
• レジスタンス水準は、1.3654 (R1)水準に存在し、1.3706 (R2)と1.3800 (R3)がこれに続くだろう。最後の2つは日足チャートに見出される。
USD/JPY
• 昨日、USD/JPYは下落し、予想どおり97.00(S1)の重要なバリアーに達した。欧州取引時間の早朝、同ペアはこのサポートを若干上回っている。これを明らかに下方突破すれば、96.38(S2)に向けたイクステンションのきっかけとなるだろう。レートは、両移動平均を下回って推移しており、RSIとMACDのいずれもが右肩下がりの方向に推移していることから、下落トレンドの妥当性が裏付けられている。
• サポート水準は、97.00 (S1)に存在し、96.38 (S2)と95.81 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、97.73 (R1)に認められ、98.50 (R2)と99.16 (R3)がこれに続くだろう。
EUR/GBP
• 昨日、EUR/GBPは若干上昇し、0.8388水準(昨日のレジスタンス)を上方突破した。同レートは、0.8440(R1)で天井を打った後、勢いを失った。私はこの上昇の動きは戻しであるとみており、弱気筋が、そのポジションを増やす良い機会であると考えられる。なぜなら、下落傾向が引き続き健在で、20期間移動平均が200期間移動平均を下回っているためである。このチャネルの上限と0.8503(R2)水準を突破すれば、すぐにトレンドの反転の兆候を探し始めたいところである。RSIが70水準でレジスタンスを見出しており、将来的な下落の波に対する私の疑念を裏付けている。
• サポート水準は、0.8388 (S1)、0.8332 (S2)、0.8273 (S3)に存在する。最後の一つは、日足チャートに見出される。
• レジスタンス水準は、0.8440 (R1)に存在し、0.8503 (R2)と0.8552 (R3)がこれに続くだろう。
金
• 金は若干上昇し、再び1316(R1)のバリアーにぶつかった。欧州の早朝、金はこの水準を試しており、この水準を明らかに上方突破すれば、いくらかの懸念要因となるだろう。また、我々のオシレーターと価格動向の間に明らかな多様化が見られることから、下落トレンドは勢いを失いつつあることが伺える。しかし、全体的な短期的トレンドは、青色の下落トレンドラインと、移動平均の弱気なクロスによって示されているとおり、依然として下落サイドである。
• サポート水準は、1291 (S1)にあり、1273 (S2)と1242 (S3)がこれに続くだろう。最後の一つは、日足チャートに見出される。
• レジスタンスは、1316 (R1)水準にあり、1343 (R2)と1368 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは、104.91(R1)のバリアーにぶつかった後、下落した。欧州時間の早朝、価格は、重要なサポート水準である102.23(S1)と前述のレジスタンス水準の間で推移した。売り圧力が価格を押し下げ続ければ、弱気筋が102.23(S1)のフロアーを再び試すと予想される。WTIは引き続き右肩下がりのチャネル内にとどまっており、移動平均の弱気なクロスも見られることから、さらなる下落の動きの可能性が高まっている。
• サポート水準は、102.23 (S1)、101.02 (S2)、 99.18 (S3)に存在する。最後の一つは、日足チャートに見出される。
• レジスタンス水準は、104.19 (R1)に存在し、106.06 (R2) と108.13 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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